武帝18 人乳料理    

武帝ぶていさま、王済おうさいの家に訪れ食事する。


その様子がまー、何と言うか。


瑠璃の器がずらずら並んでる。

これはいい。


女官たちが沢山いる。

皆がきらきらとした衣服を身に纏い、

食い物を手で捧げ持っている。

いや瑠璃の器使えよせめて!


ともあれ、よく肥えた蒸し豚が出てきた。

これがまた、異常にうまい。


「え、ちょ、どうやって作ってるの?」


武帝さまがお伺いになると、王済ドヤる。


「豚に人の乳を飲ませております!」


おうふ。

何だこいつの感覚。怖い。


ロクに食べ終わらない内に武帝さま、

食事の場から立ち去った。


ところでこの汰侈編、

主人公は王愷おうがい石崇せきすうなんですけどね。

この二人だって、

こんな発想はできませんでしたよ。




武帝嘗降王武子家、武子供饌、並用瑠璃器。婢子百餘人、皆綾羅絝𧟌、以手擎飲食。烝㹠肥美、異於常味。帝怪而問之、答曰:「以人乳飲㹠。」帝甚不平、食未畢、便去。王、石所未知作。


武帝は嘗て王武子が家に降じ、武子と供に饌ず。並べて瑠璃の器が用いられ、婢子は百餘人、皆な綾羅絝𧟌にして、手を以て飲食を擎ぐ。烝せる㹠は肥え美しく、常なる味とは異とす。帝は怪しみて之を問わば、答えて曰く:「人乳を以て㹠に飲まさる」と。帝は甚だ平らかならず、食の未だ畢らぬに、便ち去る。王、石にても未だ作せるを知らざる所なり。


(汰侈3)




王愷

司馬昭しばしょうのお妃さま、三國無双にも出演している王元姫おうげんきの弟だそうだ。晋書引いてみると石崇と鴆毒ちんどく作ったりして遊んでる、いや何やっとんねん……むしろお前らが晋の鴆毒やん。


石崇

石苞せきほうという、魏晋期の名将の息子。この時代の名士として名高い賈謐かいつ二十四友の一人に数えられたりもする。



それにしても、司馬攸しばゆうの左遷反対で疎んじられたと王済さんは書かれていますが、この変態趣味で遠ざけられただけなんじゃねえの感が半端ないですね。

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