司馬昭6 ある宴席のこと
だというのに
そこでガンガン酒は飲むわ、肉は食うわ。
同席してた
司馬昭に言う。
「明公が日々、孝の徳を示して
天下を治めていらっしゃるというのに、
阮籍めは飲み放題の食い放題。
このような振る舞いがあっては、
明公の孝徳すら損なわれ兼ねません。
阮籍めは流罪に処し、
綱紀を正すべきです」
このカタブツが、と内心で思いつつ、
司馬昭が返す。
「あんなやせ衰えた阮籍の様子を見て、
君はかれの悲しみを
分かち合おうとも思えんのか。
喪礼では飲食の禁は三日となっている。
だが、阮籍のあの様子では、
それ以上の日にち、
ろくに食べられておるまい。
元々、喪礼であっても
体調を著しく損ねるようでは
そもそも孝徳を全うができぬ。
故に病の折の飲食は不徳に値せず、
とあるではないか!」
司馬昭さま、ちょう熱弁。
まー阮籍、そんなことどーでもいい、
とばかりに食っては飲みしてましたけど。
阮籍遭母喪、在晉文王坐、進酒肉。司隸何曾亦在坐、曰:「明公方以孝治天下、而阮籍以重喪、顯於公坐、飲酒食肉、宜流之海外、以正風教。」文王曰:「嗣宗毀頓如此、君不能共憂之、何謂?且有疾而飲酒食肉、固喪禮也!」籍飲噉不輟、神色自若。
阮籍は母の喪に遭うに、晉の文王が坐に在りて、酒肉を進む。司隸の何曾も亦た坐に在らば、曰く:「明公の方に孝を以て天下を治めんとせるに、阮籍は喪の重きを以て、公坐に顯れ、酒を飲み肉を食す。宜しく之を海外に流し、以て風教を正すべし」と。文王は曰く:「嗣宗の毀頓せること此くの如し。君は之と共に憂える能わざれば、何をか謂わんや? 且た疾の有れるに飲酒食肉せるは、固より喪禮なり!」と。籍は飲む噉うを輟めず、神色自若たり。
(任誕2)
何曽
阮籍大っ嫌いマン。司馬昭
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます