司馬昭3 酔客の神筆   

司馬昭しばしょうの権勢がいよいよ大きくなる。

そろそろ魏としても司馬昭に禅譲の為の

ルートを確保せねばならない。


まずは爵位を侯爵より公爵へと進めたい。

が、この手の諮問はいったん

お断りを入れるのがルール。

司馬昭、丁重に辞退する。


朝廷の皆様、一応慌てたポーズを取る。

「わー説得しないとー(棒)」

と、司空の鄭沖ていちゅうがうごく。


鄭沖、竹林七賢の阮籍げんせきに依頼を掛ける。

君の筆で司馬昭を説得してくれ、

ってなもんだ。


文を受け取った時の阮籍、

友人の袁准えんじゅんのところで酔い潰れており、

助けてもらわないと

起き上がれないほどだった。


だが依頼を受けると、えおっこいせっと

さらさらっと下書きを書き上げ、

しかもろくに添削もせず手紙に書き写す。

で、使者に渡した。


なお、この時の手紙は、

時の人に超やべえと称賛されている。




魏朝封晉文王為公、備禮九錫、文王固讓不受。公卿將校當詣府敦喻。司空鄭沖馳遣信就阮籍求文。籍時在袁孝尼家、宿醉扶起、書札為之、無所點定、乃寫付使。時人以為神筆。


魏朝は晉文王を封じて公と為さんとし、九錫の禮を備うるも、文王は固く讓り受けず。公卿將校は當に府に詣で敦喻せんとす。司空の鄭沖は馳せて信を阮籍に遣わせ文に就かしめんと求む。籍は時に袁孝尼の家に在り、宿にて醉い、起くるを扶くられ、書札に之を為さば、點定せる所無く、乃ち寫して使に付す。時の人は以て神筆と為す。


(文學67)




鄭沖、袁准

こんな人もいたんです。


阮籍

竹林七賢のリーダー格。あーこれ知ってる、適当に書いた奴がウケて、ガチで書いた奴が評価されない系のアレだ。

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