孫皓5 死人蹴り
博識にして清廉、
その言行は全て礼に適ったもの。
その声名は呉エリアのみならず、
遠く中原にまで響き渡る、そんなひとだ。
二人の話題が、呉の時代のことになる。
「そーいや
賀氏の誰かの首を斬ってたよな。
あれ誰だっけ」
いや何きいとんねんアンタ。
何せ被害者の
当然さらっと答えられるはずもない。
しかも傷口に塩。
元帝、勝手に思い出す。
「あ、賀劭か」
あ、じゃねえよ。
そりゃ賀循も泣く。
やべ、と元帝が思ったときには、
もう遅い。
「私の父が遭った無道です。
今でも我が心は深く傷ついております。
なので、申し訳ございません。
陛下の問いに、
答えることが叶いませんでした」
元帝、ちょう後悔する。
三日くらい部屋に引き籠った。
會稽賀生,體識清遠,言行以禮。不徒東南之美,實為海內之秀。
會稽の賀生は體識清遠にして、言行を以て禮とす。徒に東南の美なるのみならず、實に海內の秀たり。
(言語34)
元皇初見賀司空、言及吳時事、問:「孫皓燒鋸截一賀頭、是誰?」司空未得言、元皇自憶曰:「是賀劭。」司空流涕曰:「臣父遭遇無道、創巨痛深、無以仰答明詔。」元皇愧慙、三日不出。
元皇は初めて賀司空に見ゆるに、吳が時事に言及せば、問うらく:「孫皓は燒ける鋸にて一なる賀の頭を截てり、是は誰ぞ?」と。司空は未だ言い得ず、元皇は自ら憶えて曰く:「是れ賀劭か」と。司空は流涕して曰く:「臣が父の遭遇せる無道、創は巨きく痛みは深し、以て仰ぎて明詔に答うる無し」と。元皇は愧慙し、三日出でず。
(紕漏2)
晋元帝
しかしこの話が事実だったら司馬睿、うっかりさんにも程がございますね。
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