第3話 久しぶりに思い出した。


いつも通りの日常で、ふと目に付いた可愛いキャラクターが剣を持って勇ましく叫んでいるような広告。


それは俺が過去にちょこっとの間、熱中したネトゲの広告だった。

俺がプレイしていた頃からすでに1年くらいの時間が経過していて

なんでも新しい大型アップデートを謳うのがその広告だった。


ふと忘れていたゲーム内での情熱が俺の中で蘇る。

このゲームはたまたまCBTに応募して受かり、オープン前から遊べた

人より一歩先輩面して遊べたゲームだった。


公式開始時にCBT参加者特典で周りとは一歩先んじた優越感に浸れる装備で、とは言ってもレベル40くらいになれば凡装備に身に包み

皆と一緒に開始初日からプレイしたゲームは楽しかった。


舞台はヨーロッパに似たどこかに存在する異世界。

魔法も化学もある世界でごったな世界で冒険者たちは好きに遊んで

クエストをこなし、武器を作り、武器を得、アイテムを求めて旅をした。

そこにリアルの一切はなく、始まりは皆平等。

そこでであったフレンドと現実を忘れて遊んだ。


中でもこのゲームで思い出すのが俺をゲーム内の師匠と呼んだ弟分である。そいつはこのゲームがVRでのプレイ初。あまりゲームをしない奴でど素人マークの犬っころのような明るくて中犬柴こうのような馬鹿な奴だった。


たかがゲームで、だけれどたかがゲームだからこそ現実のあれもこれも

忘れて平凡な俺が威張り散らして先輩面で冒険に連れまわしたそいつはどこにも時間も気にせず付き合ってくれる気の言い奴だった。


「え、これ貰ってもいいんすか?レアですよ。」

「ああん?俺は持ってるからいいんだよ。ゲットできたならお前が貰っとけ」


リアルじゃ20代にして草臥れたサラリーマン。俺が目をキラキラした誰かに一緒に集めたアイテムを譲る。それを感謝される。

ついぞ、リアルじゃご無沙汰なそれはなんだかくすぐったいような

いい思い出だった。


「ちょっとだけ、ログインしてみるか…?」


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