『25%』

第1話 『２５％』

『２５％』。

確か、そんなパーセンテージだった。

大病を患った友人に医師が宣告した５年後の彼の生存確率。

僕も彼もそれを信じなかった。

現実味が無かった。

目の前にいる彼に死の影など微塵も感じられなかった。

誰もそれを信じなかった。

信じられなかった。

いつもの歩道橋の上。彼が僕に尋ねた。

「なぁ、お前のさ・・・・・５年後の生存率って何％ぐらいあると思う？」

5年後の僕の生存率？

答えに詰まった。正直、全く想像が出来なかった。

１００％とは言えない。

突発的な事故に巻き込まれて命を失う可能性もある。

彼と同じように大病を患う可能性もある。

かと言って０％とも思えない。

では、８０％か！？６０％か！？

考えてみれば

彼が医師から宣告された『２５％』。

意外とそれくらいが妥当ではないかと思われた。

僕は正直に彼にそれを伝えた。

「だろ！やっぱり皆、そんなもんだろ！？俺だけじゃねぇだろ？」

彼はそう言うと、少し嬉しそうに煙草に火をつけて微笑った。

あの夜から、もうどれくらい経っただろう？

現在、彼とは音信不通になってしまっている。

何処で誰と何をして過ごしているのだろう？

僕は彼の連絡先を知らない。

彼からの連絡もない。

彼が今、どの星に住んでいるのか？

それすらも僕は知らない。