第2話

「あー、ほんと先生かっこいい……」

「またその話?」

水曜日のお昼休み、友達とお昼を食べながら昨日の先生との会話を語るのもいつもの光景。2人は私のことより目の前のご飯に集中している。そんなことはお構い無しに私は話し続ける。

「だってさ!!私のこと心配して時間になったら『そろそろ授業始まるだろ?』だよ!?あの優しさ、殺しに来てるとしか思えないわ…。」

「はいはい、あんたがどんだけ先生のことを好きかはよく分かったよ。」

「ちょ、リラその反応は冷たい…。」

「そんな事言われたって、毎日同じこと言われる身にもなってよ。」

そう言いながらリラは自作だというお弁当を食べている。相変わらずリラの作るお弁当は可愛くて美味しそうだ。

「ねぇ、ひゆはそんなこと思ってないよね??」

そうひゆの方に目をやるとこちらの会話に参加ぜず、さっき買った購買のパンを美味しそうに食べていた。

「ん〜結構お腹いっぱいかなぁ。」

その感想は私の話に対してなのか、目の前のパンに対してなのか、私は言及することをやめた。

「はぁ、なんで先生毎日来ないんだろう…。」

「それは非常勤だからだろう?」

「分かってるけどぉ…。」

そういう事を言いたいんじゃないというのは、わざわざ言葉にしなくても伝わっているだろう。私たちの友達の期間はまだ短いけど、その程度までは仲良くなったつもりだ。

「あれぇ?そういえば次の授業なんだっけ?」

思い出したようにひゆが口に出す。

「確か古典じゃなかった?」

そうリラが答えた時、私は一気に夢から覚めたように現実を突きつけられた。

「え、まって課題やってない。リラ様ぁ〜〜!!」

「仕方ないなぁ…」

「あはは、ひかりちゃん頑張ってぇ〜」

こんな光景も私のいつもだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る