第5話 リスタート

「いくぜ・・・幻魔召喚雷神御霞鎚(カクヅチ)ユニゾンブレイク!!合体魔法・・・雷帝 鳴御霞鎚・・・!」


幻魔と千尋との合体魔法。雷帝というのは、雷系攻撃呪文最強呪文であり、さらに幻魔との合体攻撃だ。威力はそれ以上のはず。さすがのアイツでもひとたまりもないはず・・・・


「気持ちいい・・・きもちいいわぁぁぁんっゾクゾクしちゃうっあぁんっこんなっしゅごっはじめてええええええビリビリンギモヂイイイイイイイイイイイッッ」


感じてた。気持ち悪いくらいに。闇属性=光、雷系がニガテってわけではないんだな。RPGみたいにはいかないんだな・・・


「って、俺たちはみてるだけでいいのかな?千尋だけにまかせていいんだろうか?なあ、空、いいんちょ」


「仕方ねえんじゃないのかこれは・・・・手出しができねえ・・・が、俺はガーディアンだ。あいつを守ることくらいできるはずだ・・・俺はいくぞ。こんなんじゃ憂姫を守れねえ強くならなきゃいけねえんだ・・・!俺は!あの時、憂姫を守れなかったそれが悔いて仕方がない。もうこんなことはごめんだ。俺はこの世界で・・・変わる・・・!!」


「手をかすぜえええええええええええ千尋おおおおおおおおおおおおおおバケモノこっちだあああああああああああああああああああああキャッスルウォール!」


キャッスルウォール。城の城壁のように硬い守りで仲間への攻撃をすべて自分に集中させる技だ。

しかしあいつ、盾なんかもっていない。体で受け止めるってのか!?


「やめろ!無茶だ!盾がねえじゃねえかよけろよ死ぬぞ空!」


「こんなところじゃ終われねええええええええええええ!ガードバースト!鉄壁の構え・・・・!」


「あらあん?ムキムキマッチョメン・・・ウホ♂いい男いいわよぉん?デススピア・・・鎌だけが私の攻撃だと思わないでほしいわぁんこれは貫通系物理攻撃・・・これをくらったらひとたまりもないわぁん?

いきなさあああああああああい!!」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!負けねええええええええ!ふんっ」


全身に力を入れ、攻撃を受け止める空。しかし、デススピアはそんな体を容易に貫通していく。


「ぐっうがあああああっかはっげほっくっそ、やっぱだめなのか俺なんかじゃ・・・?憂姫を・・・みんなを・・・守れねえのか・・・・?」


「雑魚が強がっても雑魚のまんまよぉん?悔しかったら強くなりなさい?そこのボーヤ・・・千尋みたいにね。」


「空さん、動かないでください。傷が広がります今回復魔法かけます。ハイヒール・・・!え、傷がふさがらない・・・?しかもこの黒いモヤみたいのが全身に侵食をはじめてます・・・」


「デススピアはねえん?侵食系なのよん一度喰らったら傷から毒、回復阻害が全身に広がり、あと数十分で死ぬんじゃないかしらぁん?かっこつけるからだわぁん?雑魚のくせに。さ、千尋との勝負には外部は邪魔ね。消してしまいましょう。我が元に来たれ無数の鎌達。敵を殲滅するといいわぁん暴雨の鎌!」


マチルダの詠唱により無数の鎌が出現した。ここで終わりなのか・・・?また無駄に死ぬのか。なんて無力なんだ。俺は。誰も守れない。妹すら・・・・


「ごめんよ、さら・・・守ってやれなくて。お兄ちゃんには無理みたいだ・・・」


委員長が声をあげぬ間に体がバラバラに引き裂かれ肉塊と化す。またこいつにやられるんだな・・・

せめてさらだけは逃がしたい。


「逃げろ、さら。逃げろ。頼むから。お願いだ。生きて・・・!」


「いや、いや・・・いやあああああああああああああああああああああああっお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄いちゃああああああああああああああんやだよやだよ死んじゃいやだよお兄いちゃああああああああああああああん」


鎌により飛ばされた兄の首を抱き泣き叫ぶ妹。そんなこともおかまいなしに無数の鎌が彼女を襲う。


「やだ・・・。」


「なにかしらぁん?なにかいったかしらぁん?小娘」


「やだよ・・・お兄ちゃんがいない世界なんて・・・やだ・・・!やだやだ!やだやだやだやだ!こんな世界望んでないよ!いやだよ・・・・もう・・・・お兄いちゃんがいなきゃ私・・・

ねえ、戻して。戻して!早く!こんな世界望んでない!こんなの私の望んだ世界じゃない!!」


彼女が叫んだ。その瞬間あたり一面を覆う光。無数の鎌は一瞬にして消え、なにもみえないような状態。


プツンッとテレビが消えた時のように世界が暗転。そして、この世界から切片を断った。


ーーー夢を見た。


みんなと一緒に屋上でご飯を食べている。--も一緒だ。おいしいねと微笑みかけてくるーー。


シーンが変わった。


下校。いつものメンツで家に向かう。バカみたいな会話してーーは今日のご飯はなにがいいか聞いてく

る。お前が作ったのなら何でもおいしいよ。--に微笑みかけた。--も笑った。

あぁこんな日々がずっと続けばいいのに。


またシーンが変わった。


泣いている。泣かないで。俺の大事なーー。泣き顔なんか見たくない。笑って・・・?


「助けてください。お兄ちゃんを・・・お願い・・・だれか助けて・・・!」


「------本当にそれを望むのですか?」


「・・・はい。お兄ちゃんさえいれば私はそれでいいんです。お兄ちゃんがいたから今の私がいるんです。お兄ちゃんがいない生活・・・世界なんかありえないです。助けられるなら私はなんだってします。


「その気持ちは本当みたいだね。この力を与える。過去をやり直す能力・・・この力を使えば過去に戻りもう一度やり直すことができる。未来を変えることができる。

だけどね、これには代償があるんだ。

それは君の記憶か寿命。大好きなお兄ちゃんと過ごした記憶。今まで過ごしてきた記憶をちょっとずつだけど消費して過去に戻る。それはどのくらいの過去に相当するかによって記憶がなくなる量がかわってくるんだ。気を付けて使って。後悔のないように・・・ね。」


「・・・・はい。ありがとうございますーーーさん。」


ーーーーーーーーーーーー


「・・・・て・・・きて・・・・起きてお兄ちゃん!大丈夫!?大丈夫お兄ちゃん!?いきなり倒れたからびっくりしたよ!?」


ここは・・・・あぁ、異世界か。夢を見ていた気がする。懐かしい夢。夢から覚めればまたあの続きが見れる。そんな気がした。でも俺は死んだ。この世界でしかもう生きられない。


「あぁ、ごめん。心配かけた・・・もう大丈夫だよ。さら。」


ぎゅぅっ。目の前の妹を抱きしめた。離したらどこかにいってしまいそうな。そんな気がしたからだ。


「ちょっお兄ちゃん!?アリスさんもみんなも見てるよ!?そりゃうれしいけどさ・・・えへへっでも場所を考えてほしいなぁ~なんてっえへへっ」


「ごめん、もう少しだけ・・・どこにもいかないよな?さら・・・一人は・・・いやだよ。」


「よしよし、どこにもいかないよ?お兄ちゃんを放っておけるわけないじゃない!ずーっと一緒にいるよお兄ちゃん。」


ーーー大好きだ。その言葉を必死に飲み込んだ。仮にも血のつながった兄妹だ。その言葉を言ってしまうと壊れてしまうんじゃないか。今の関係が。今の生活が。そんな気がした。怖かった。


「ん・・・ありがとう、さら。ごめんな。こんなダメなお兄ちゃんで。もう大丈夫だ。すみませんでしたアリスさん。続けてください。」


「ったくよー、ブラコンシスコンには困ったものだぜーなあ?空。」


「いいじゃないか。ラブラブで。ほほえましい兄妹だよ。な?憂姫。俺らも結婚してあんな幸せそうな家庭をつくりたいよ」


「なっ!?ばかっそんなっ恥ずかしいこと言わないでよ空・・・うれしいけど。ふふっ」


「お・・・おう、俺ぼっち。一生童貞現実は非常。味方なし。はあ・・・この世界に二次キャラいねえんだもんなあ・・・ゲーム機なくなってるしよお・・・・俺の生きがいがぁ・・・」


「あのー、よろしいでしょうか?話を進めても・・・仲がよろしいことはわかりましたので。はい。いいことだと思います。しかしすみません、これから個々での修行になります。その点をお忘れなく。

・・・では始めます。修行がんばってください。いってらっしゃいませ。みなさん。」


ふう。無事に成功したみたいですね。さら様。ひろ様が多少記憶が残っているのかもしれませんね・・・

操作はしないですがこれが今後どういう影響をもたらすか・・・。

さら様、あまり使えるものではありません。タイムリープというのは。それにあなたの記憶が。

生き延びてもらいたいものです。おそらくはまたマチルダがあのダンジョンにはやってくるでしょう。あれ以上の戦力をこの修行で得ることができるでしょうか・・・きっと千尋様がまた・・・

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