第2話 ようこそ異世界へ

「ようこそ。楽園へ。目覚めなさい選ばれし者たちよ」


声がする。俺・・・死んだんだよな。じゃあ死後の世界・・・か。じゃあ・・・もう。


「んん・・・?ここは・・・」


神殿・・・?ゲームでみたような神殿だな・・・見たことのない場所だ。まあ当然か。死んでるんだもんな。死後の世界に違いない。


「すまん、そこの・・・キミ。ちょっといいか?」


「私でしょうか?」


「そう。キミだ。えーっと・・・」


「私はこの楽園の管理者のアリスといいます。ようこそ。楽園へ。柊ひろ様。」


何で俺の名を・・・?・・・楽園?


「えーっと・・・いろいろ聞きたいんだが、ここは?そしてみんなは?一緒にここにきてないか?俺以外

に4人いたはずなんだが・・・一緒に殺されたんだここにとばされてないのか?」


「まず、ここは楽園。あなたたちの所では死後の世界という扱いでしょうか?そして、あなたのご友人は・・・」


「あっ、お兄ちゃん~よかった!起きたんだね!私たち助かったんだね!」


え?助かった?そんなはずはない。俺は見たんだ。委員長が。空が。千尋が。そしてさらが・・・

死んだところを。そしてあの怪物・・・あいつは一体・・・


「やあ、ひろ。起きたのか。」


「柊君。おはよう?でいいのかな」


「おー、ひろ。おはおはー」


よかった・・・みんな・・・いる・・・


「彼らはあなたより一足先に目覚めたのです。全員揃ったところで説明をいたしましょうか。

先ほども申したように、私はこの楽園の管理者のアリスといいます。この世界はあなたたちの世界でいう所の死後の世界。あなたたちは死んだのです。」


「え、死んだ・・・?死んだって・・・生きてんじゃねえか俺ら!!どういうことだよ」


「あなたたちは選ばれし者なのです。普通は死後の世界に運ばれ、新たな命を授かり転生するでしょう。


しかしひろ様が望んだのです。あなたはRPGの世界に憧れを持っていた。違いますか?」


「なんで知ってる?そしてさっき。俺は自己紹介もしていない。なんで知ってる?なにもかも。」


「管理者ですので。それに、私が召喚しました。あなたたちを。」


「お前が・・・?俺としてはRPGの世界にこれたのは嬉しいが、こう・・・まだ実感がないという


か。」


「そうですね。では外に出てみましょうか。召喚した目的など必要なことは外を見てからにしましょう。ではこちらです。」


キィィィ立て付けの悪そうなドアを開けるとそこには・・・


「おぉぉ!これは・・・!」


「島が・・・浮いてる・・・」


ファンタジー・・・そんな言葉がふと浮かぶ。空に浮かぶ島。青い空。豊かな自然。あれは・・・滝?


「すげえな。アニメでみるような世界だ。本当にきちまったのか。RPGの世界に・・・」


「お兄ちゃん・・・」


ぎゅっ右手に温かなものが触れる。さらの手だ。そら怖いよな。死んでからわけのわからない世界にきちまったんだもんな・・・


「大丈夫だ。さら。俺がついてるよ」


「ッ!うん!」


パァっと笑顔が咲く。うん、さらはやっぱこうでなくちゃ。かわいい妹。妹のためなら俺は・・・・


「んで、詳しく説明してくれないか。この世界のことを。何が目的でここに連れてこられたのか。ひろが望んだってのはわかったが、それでも理由があるだろう。まあ、俺も死んだってならしょうがないと思うが、憂姫と一緒なら・・・どこだっていいさ。」


「もう、空ってば・・・」


あーあついあつい。リア充死ねばいいのに。あ、もう死んでるか。


「はいはい、ごちそうさまごちそうさま。んで、どうなんだよアリスちゃん。話kwsk」


サバサバしてんなあ・・・千尋。


「はい、ではお話しましょう。ここに連れてこられたわけとこれから何をしてもらうか。

そうですね。まず初めに訳から。先ほども言いましたが、ひろ様が望んだのです。この世界は。あなたのための世界・・・というわけではありません。もともとあったこの楽園にあなたたちを転生・・・という形になります。目的は・・・今は話すことができません。すみませんが。これからなのですが、手続きをしていただきます。こちらの世界での名前、職、サブ職これを決めてもらってから職ごとに訓練を受けてもらいます。同じ職を選んだからといって同じ部屋に入るというわけではありません。一人一人違う部屋になります。」


「しつもーん。職ってなにがあるんだ?サブ職もだが。」


「職は基本職、中級職、上級職とあります。初めに職を決めてもらい、訓練を受け、熟練度をあげ、人によりますがこの初めの訓練で中、上級職へ転職するものもでます。熟練度は10まであります。この訓練外でもモンスターを倒すことによりあげることもできます。

職なのですが、まず、基本職。戦士ファイター、騎士ナイト、魔法使い(マジシャン)、暗殺者アサシン、弓使い(アーチャー)、侍サムライ。以上が攻撃を得意とする攻撃職、付与魔術エンチャンター、召喚師サモナー、治癒師プリースト、錬金術師アルケミスト、陰陽師。以上がサポート系の職になります。中、上級職はこれらを組み合わせ自由な職業を作ることができます。

サブ職業ですが、そちらは任意ということにします。つけなくてもよし。つけてもよし。戦闘には役には立ちませんが、採取、ドロップアイテムを多く獲得することができる、武器が作れるなど様々な職があります。では、質問等がなければ名前と職を決めてもらいます。」


「とくにはないかな。」


「私も」


「おれもー」


「私もないです。」


「俺もないかな。」


「では、ひろ様、前へ。こちらをどうぞ。」


受け取ったものは携帯のような小さな板


「これはステータスや情報を見るための道具そちらの言葉でいうとタブレットといいましょうか。

それを使って自分にあったサブ職業を探してください。」


なるほど・・・使い方はっと・・・大体同じか。


「ではひろ様、お名前はどうされますか」


「そうだな・・・俺はひろでいく。」


「では職業を決めてください」


「ファイターだ」


「わかりました。ではプレイヤー名はひろ職業はファイターですね。では次にさら様前に。」

さっきと同じように、タブレットをもらった。そういえばさらは携帯なんてもってなかったなあ・・・


「えーっと私もさらでいいかな。職業は・・・プリーストにします!」


「では次に空様。」


「そうだな・・・俺も空で職業はナイトにしよう。俺が憂姫を守るぜ」


「次に憂姫様。」


「私も憂姫で職業は・・・サモナーでお願いします。」


「最後に千尋様。」


「俺がトリか・・・そうだな。俺も名前はそのままでいいや。千尋で。職なあ・・・マジシャンにしよう

かな。俺氏30歳童貞そして魔法使いになる」


自虐かよ・・・と心の中でツッコミをいれつつ、タブレットでサブ職を選ぶ。


「サブ職って結構あんのなー。これといってめぼしいものが・・・」


「わ!料理人なんてものがあるの!?私これがいいなー。お料理好きだもんお兄ちゃんにおいしいお料理

作ってあげるね!」


ほう・・・さらが料理人・・・確かに、家事全般できるさらには天職かもな。


「ではさら様はサブ職業に料理人を追加しておきます。」


なんかないのかな・・・俺もなにかほしいかも


「あの・・・これって今決めなきゃいけないですか?そう簡単には決められないです・・・」


「俺もまだいいかなー特にめぼしいものはなさそうだ。」


「大丈夫です。サブ職業はあってもなくても同じ・・・レベルのものが多いのでいつでも選ぶことができ

ますが、一度選んでしまったら変更できないのでご了承を。」


なるほど・・・じゃあ俺もいいかな。


「俺もまだいいです。」


「わかりました。サブ職業はさら様のみということで決定します。今後はタブレットからサブ職業を選択

し、登録できますのでそちらからお願いします。」


「最後に、パーティーを組まれますか?組まれる場合は支援が国からあり、戦闘には有利になります。

パーティーを組まれるようであれば、パーティーの名前を決めていただかなければなりませんがどうしますか?」


パーティーか・・・せっかく仲のいいもの同士でいるんだ。せっかくなら・・・


「なあ、組まないか?パーティー。」


「私はいいよー!お兄ちゃんにおまかせだよ~」


「俺もいいぜ」


「私もいいわよ」


「俺も。」


「では、パーティーの名前をつけてください。」


「うーん、難しいよなあ。パーティーの名前なんて。グループ名みたいなもんか?ロ○・ホラ○ズンみたいな?」


「ギルド名みたいのでもいいのか。ふぅむ・・・」


「異世界からきた・・・パンピー?」


さすがは頭がキレる空だな。パンピーか。別の・・・とかそういう意味もあるよなあれ。


オタクと一般人みたいな。


「選ばれし者・・・メシア?」


このカップルやりおるな・・・俺も何か・・・うーん、何も思い浮かばんなあ


「メシアって救世主じゃ?」


「ある意味同じじゃないか。通じるといえば通じるだろう。」


「異世界からの救世主と書いてどう読ませるか。」


「なんか痛くねえか?それ。ほかのやつからこいつら自分で救世主とかいってんよープークスクスとかいわれそうだぜ」


「アリスさん、すぐにこれも決めないといけないかな?」


「そうですね・・・大丈夫ですよ。冒険にでるまでに決めてもらえればそれで。


ただ・・・・


一緒に冒険できるとは限りませんがね?」

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