第23話 騙されている?
昨日の夜、何を着て行こうか散々考えてみたが結局自分の定番の、飾り気のない白のブラウスに淡い
前から頼まれていた母の下着を、名前がよく分からないデパートで買って、デパートの南口から出た。
(下着以外は頼まれない、私が買えばTシャツでさえ、自分で着るのを
左へ行けば何軒かファッション関係のお店が有ったはずだ。
一件目、高級そうな私なんて場違いな雰囲気のお店。
窓に控えめに『Modalità italiana』ここか、、、手前にある十台程の駐車スペースにはでかでかと『イタリアンモード』の看板が立っていた、普通はこっちから見つけるのでしょうね、まあいいでしょ。
店内に入って立ち止まる、慣れない所はゴーグルを外さないと歩けない、店の中が暗いんじゃなくて、それくらい濃い色のゴーグルでなければ外では眩し過ぎる、それに今日はゴーグルの下にサングラスも着けている。
なのでゴーグルを外すと近くに居た若い店員さんがポカンとした顔をしていた、慌てて、
「い、いらっしゃいませ」
何処へ行ってもこんな対応だから慣れている、
「アオキさんいらっしゃいますか、アキブと言います」
サングラスを整えながら言うと異常を察知したかのように奥からベテランらしき女性が、恐いものは何もないと言うような態度で、
「こちらのお店は初めてで御座いますか、あいにくアオキは外回りに出ておりまして、御用が有ればわたくしがお聞きいたします」
とアオキさんを呼んでくれない。
「今日の十時に来てくださいと、昨日連絡頂いたのですが」と言うと
「少々お待ちください、
とさっきの若い店員に言いつけて、この人は私から離れるつもりはなさそうだ、不審者を見る目で頭のてっぺんから足のつま先までジロリと鑑定された。
「何あれ、来るとこ間違ってない」
「アオキさん指名だって、全身百回洗って出直してこいだわ」
「もっともっとマシな服着てね」
奥の方で当人同士しか聞こえない程の声でコソコソ話しているのが聞こえてしまう聴覚の良い私、まあ自覚はあるから腹を立ててもしかたない。
「ごめんね、わざわざ来て貰って」
少し待ってたらアオキさんが出てきた。
「まずサングラスを外せないか試してみよう」
「何とかなるかなあ」
「試してみる価値はあると思うけど」
「じゃあやってみる」
「それじゃあこっちへ来て、二階に用意しているので」
奥のドアに入る時にまた聞こえた。
「えーどうゆう関係、妙になれなれしいですけどー」
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