第7話 帰ってこないお父さん。。。
おじいちゃんの診療所を
「
「あっあの、じつは躓いちゃまずいと思うとヒヤヒヤして、すいません手を持ってもらえますか」
「いいですけど、さっき運んだように」
彼も言いづらかったのか私を抱っこする格好をして見せた。
「えっと、意識が有ったら恥ずかしいです」
「でも倒れそうになってから腕を引くのもまずいですから、運びます」
そう言うと私の左腕を肩に回しさっと
「あっ、、、」
「任せてください、さっきも運びましたから」
「そう、ですね、でも、、、」
何故か安心する、少し違うな妙に違和感がない、これから先もこんな事が続くような。いやいやそんなに甘くない。
「でも?」
「い、いえ、えーと明日も歩けなかったり、、、(いやそんなに甘えられない)いや歩けます歩けます」
「いつでも呼んでください」
「だ、ダメです、学生さんでしょ」
「バイトの方が多いくらいです」
「そうなんですか、私も柔道教えたり、会社の欠員が有ったとき先生に電話掛かってくるんですよ会社でお母さんが待ってるとかって」
「予備要員にされてるんですね」
家の玄関近くまで来たときに、
「ここで下ろして、見てほしいものが有るんだ」
玄関を過ぎたところにガレージが有り今は使われていないワンボックスの車が大して埃も被らずに置いてある。
お父さんが
車庫の前まで青鬼さんの腕を引いてきて、
「バックトゥザフューチャーて知ってます?この車過去に連れて行ってくれるんです」
「映画は見ました、、、」
「動かなくても乗るだけで、、、」後は言葉が続かなかった。
お父さんに会えるって言えなかった。
言ってもしょうがないのに何を言いたかったんだろう。
「あれこの
「車検?って」
「えっと安全に走るために二年に一度検査をしないと道を走る事が出来ない仕組みです、と言う事はお父さんが」
「はい父の車です、今は外国に行ったままです」
「海外に単身赴任とか」
「まあ、そんな感じです」
私の話し方が歯切れが悪く、聞かない方が良いと思ったのか、
「それにしてはきれいですね、手入れされてる様な」
「乗ってます、この中だけですけど」
車は乗らないとダメになると聞いたことが有るので、月に一二度三度四度家の敷地の中だけを走らせている、小さい時に見たお父さんの運転を思い出して。
「なるほど、乗らないと動かなくなると言いますね」
少し間をおいてから、
「いつかドライブしたいな」
「あの僕でよかったら、、、」
甘い言葉に思わずふらついてしまった。
すぐに抱っこしてくれた。
(だめだ、、、何が?)
うっとりしたせいで「ぜひ」というタイミングを逃してしまった。
「家に入って横になってください、骨折しているんですから」
黙ってうなずく。
(そんなに優しくしないで、いや優しくして欲しい、あーもう訳わかんない)
家の中に入ってソファに下ろされる。
つい腕を取ってしまった。
(離れたくない)
「あの、、、」
慌てて手を放し、
「あっごめんなさい、あのえっと明日は?」
「様子を見に来てもいいですか、ピラフも食べてもらわないといけないし、それで少しだけ待っていて下さいお見舞いに何か買ってこようと思います、何か夕飯になるようなもの買って来ますので」
「あ、そんな、でも、あ、やっぱりお願いできますか、わたしは大根でもかじっていればいいけど、お母さんの食事毎日私が作っているので」
「はい、簡単な物になるかもしれませんが、なるべく美味しそうな物を買って来ま
す」
起きようとした私は手で制されたので寝たまま、
「すいませんお願いします、あ、もしかして寝ちゃってるかもしれないので、これ、カギ持っていて下さい」とカギを差し出す。
「え、でも、無くしたりしたら大変だから、、、」
「でも私眠っちゃうと起きれないかも知れないので」
鍵を渡してすぐに目を
買い物に行っている間だけでもソワソワする、でも帰ってしまったら、明日来なかったら、、、ああどうしちゃった私、不安でたまらない。
そんな事を考えていたけどケガをすると起きていられない私、いつの間にか眠ってしまっていた。
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