第35話 ギブライド
砂塵が、小屋の向こうに立ち込めていた。山を下りてきた魔法使いの女たちも、迎撃に向かった部下たちも砂塵に呑まれている。
レスダムールか。
ギブライドは走った。砂塵に突っ込んでいく。
一人だけ立ち尽くした人影が見えた。ギブライドは剣を腰だめに構えて突進する。
水音の混じった鈍い音がした。
「やはりか、レスダムール!」
ギブライドの剣は、レスダムールの胸の中心を貫いていた。
「代官と俺たちをぶつけて、その隙に出し抜くつもりだったか! 貴様の叛意など見えすいていたぞ!」
風が吹いた。砂煙が晴れていく。
辺りでは、いくつもの死体が燃えていた。女の魔法使いも部下たちも爆発を食らって死んでいる。全員がその身を黙って焼かれていた。
微かに息を残したレスダムールが、弱弱しく血反吐を漏らした。
「馬鹿が! 貴様の代わりがいないとでも思ったか! 貴様の残した資料と時間があれば、貴様の代わりなどいくらでも用意できるわ!」
ギブライドは剣を引き抜き、レスダムールを地面に転がした。
「さあ! 邪魔者は殺した。今回の実験は失敗したが、まだ機会はある。早く残りを皆殺しにして、祖国に帰ろうぞ!」
味方の生き残りは、自分を含めて七人もいる。
生き残った敵は、モレットとクライトを含めて三人しかいない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます