第25話 間章七

 レスダム―ルが初めてクライトとシアルに会ったのは、七年前のことだった。

 天側の国と同盟を結んだことにより、レスダムールはその国の首都を訪れることになった。その途中で通った村に、二人はいた。

 あの時の高揚は良く覚えている。息子夫婦、そして孫を失ってから屍のようになっていた人生が、再び色づき始めたのだ。

 それから時が経ち、計画を進める為にトルガードに亡命した。それも既に五年も前のことだ。計画は、最終段階を残すのみとなっている。

「レスダムール先生。おおよその準備は終わりました」

 この計画の為に派遣された男が言う。レスダムールは短く返事をして呟いた。

「後は、核だけだな」

 眼の前には、大小無数の岩で幾何学模様が作られていた。その中心には枯れ草で飾り立てた掘立小屋が立っている。

「これで我がトルガードも、ますます隆盛を極めることでしょう」

「そうだな」

 研究そのものは、何十年も前から始まっていた。それが具体性を帯びたのは、あの七年前のことだった。

 まだグルピアリスに属していた頃から始まった計画は、後少しで果たされる。

 楽しみでならなかった。

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