第20話 この笑顔を絶やさない精神は営業向きだな
「あいつはこの先だ、早く助けないと!」
トルルは走ったばかりで息が切れているにもかかわらず、声を大にして訴えかけてくる。
前方に見える、先の見えない暗い路地裏。
焦り苛立つトルルの隣で俺はとても冷静でいた。こうなることは、なんとなく予感していたから。
「・・・トルル、悪いけど作戦変更だ。」
「なんでもいいから早くしろ!あいつ殺されちゃうぞ!」
そうだよな、それが普通の反応だ。誰もいない路地裏にメアリーが追い詰められている、そう思うだろうな。
「トルル、今から俺に魔法をかけてくれ。」
「合流してからじゃだめなのか!?」
「いいから。俺を、『お前』にしてくれ。」
「メアリーじゃなくて?」
「あぁ、そうだ。頼む。」
先の折れたデュランダルを片手に、トルルは俺に魔法をかける。
「なんか、自分と向き合うって、気持ち悪いな・・・で?どうするんだ!?」
「お前はここにいろ。それだけでいい。」
「でも!」
「ついてきても何もできない。結界張ったままここにいた方が安全だからここにいろ。」
それだけ伝えると、俺はメアリーの待つ暗い闇の方へと進む。
~~~~~
「女装癖なんてねぇ、よ!」
トルルだった体が元に戻るのを感じながら、俺は握ったナイフごとメアリーを壁に投げ飛ばす。
「うぐぅ・・・!」
壁面に叩きつけられたメアリーは苦しそうにその場に這いつくばり、体を起こそうと地面を押す。
「何ダラダラしてんだ。こっち向け。」
うつ伏せの状態から立ち上がろうとするメアリーの顎を軽く蹴り上げると、ひっくり返したカエルのように情けなく仰向けになった。
「ひ、ひどいなぁ・・・これでも女の子なんですけど・・・?」
口と鼻から血を流しながらにやにやと笑うメアリー。なぜかかなり余裕そうだ。極度のドMみたいだな。
「情報部の雑用しながら、捕まらないためにずっと自分の情報を集めてたんだろ。まさかだよな、お前みたいなのが殺人鬼なんて。」
追い詰められた状態で怯えることも怒ることもなく、生ぬるい視線でメアリーはこちらを見上げる。
「私をどうします?衛兵に突き出しますか?それとも・・・なんでもするって言ったら逃してくれますか?」
「逃がすつもりはない。」
「え~?せっかく何でもしてあげるのに。とくにこんな路地裏なら、誰もきませんし・・・」
袖で顔の血を拭うと、上目遣いで色っぽく微笑みかける。
「・・・いいんですよ?お兄さんなら・・・」
上着のボタンをゆっくり一つ一つ外すと、トルルが羨むそれが服の間から少しずつ主張を始める。
「そうか・・・なら。」
俺は屈んでメアリーの顔とふれあいそうなほど顔を近づける。
「素直ですねぇ。そういう所、好きです。」
ボタンを外すのをやめた手が背中に回り、体同士が近づく・・・
ボキッ
「う・・・っ!」
二人だけの路地裏に響くのはいやらしい音や声ではなく、何かの折れたような鈍い音。
「握るもんが違うだろ。」
メアリーは忍ばせていたナイフを手放し、折れた左手の手首を押えながら土下座のような格好で縮こまる。
「ほんっと、油断も隙も無いな。・・・ところで質問だけどさ、なんでクラリアを殺した?」
カタツムリが顔をだすように、メアリーは具合の悪そうな顔をあげる。
「すごく、優しくしてくれたんです・・・トルルちゃんに興奮して気絶しちゃったときも、ずっと一緒にいてくれて。ずっとドキドキが止まりませんでしたよ。その場で殺したいぐらいでした・・・!」
とろけた目と、楽しい思い出を語るような口ぶり。まさに狂人だな。
「でも、その時は必死に殺さないように我慢したんですよ?『謎の殺人鬼』がクラリアさんを殺すから、トルルちゃんは怖がったり怒ったりしてくれるんですから。」
頭がおかしいんだろうな、というのが俺の素直な感想だった。理解ができない。おそらくこいつの性癖なんだろうな、気に入ったものを殺したくてしょうがないなんてな。
「なんでそこまでトルルを追い詰める必要がある?因縁でもあるのか?」
「因縁なんてありませんよ。好きな人には、かわいくいてほしいものでしょ?周りのものすべて無くしてあげたら、トルルちゃんはもっとかわいくなる・・・それだけですけど?」
当然と言わんばかりにあっけらかんとしている。こいつにとっては当たり前で、なにもおかしくはないんだな。嘘でもキャラ作りでもない、メアリーは本当はこういうやつなんだろう。
「持ってるものを失ったとき、人の表情はこの上なく豊かなんですよ?それが一番かわいくて、とてもドキドキさせるんです!・・・かっこいい用心棒がいて、魔法の才能もあって、お金もあって、奔放に生きて。そんなトルルちゃんは絶望してこそ輝くんです。」
「・・・ウィンドランス。」
二本の風の槍が、うずくまっている姿勢のメアリーの両肩を突き上げるように発射し、壁に磔の状態になる。
「うぅッ・・・くっ!こんな事したら、わ、私、死んじゃうよ・・・?」
「かまわねぇよ最終的に殺すつもりだし。いつまでヘラヘラしてんだ。とことん気持ち悪いな、虫酸が走るわ。」
「そんなこと言って・・・この前は私に少しドキッとしてたくせに。」
まだ元気そうだな。もういいか、特に気になることもないし殺そう。
「でもそろそろ、私の番ですよ?」
「は?何だって?」
「ふふふ、エアプレッシャー。」
メアリーの体は自らの魔法で上方からの風圧を受け、 肩に刺さる風の槍が派手に肉を引き裂きながら地面に伏す。
再び這いつくばったと思えば、すぐにそのままの姿勢で二メートルほど飛び上がった。
突然の奇行に一瞬気をとられた。が、逃がさない。虚をついたつもりだろうが、何が起きても逃がすつもりはない。
浮き上がったメアリーの足をつかむと、顔面から地面に叩きつける。
「うぶ・・・!容赦ないですねぇ。」
顔は地面にめり込んで見えないが、声は笑っているようだ。
どうなってんだ・・・とも思ったがよく見るまでもない、いましがた砕いた顔以外全身の傷が治っている。
詠唱無しで瞬時に回復し、致死ダメージを与えても余裕、か。前に本人が言っていたとおり、殺人鬼は人間じゃないのか?
いや、アンデッドにしては体温が高いし、こんな異常なタフさは魔族にもなかなかいない。
こいつ、まさか・・・?
死体のようにぐったりと動かないメアリーを持ち上げると、そのまま反対側の壁に投げ飛ばして距離をとり、スキャナーを発動。
『レベル157、人間、転生者、危険要因・特殊能力』
「お前もかよ・・・」
メアリーは土煙の中から立ち上がると何度も見たムカつく顔でニヤリと笑う。何に向けられた笑顔なのか理解したくもないな。
「とっっっっても痛かったですぅ。こういうのが好きなんですか?」
メアリーは跳んだ。そして近くの壁を蹴ってすぐ目の前まで距離をつめてきた。
「私と同じですね。」
「くっ!」
突き出された魔力でできたナイフの刀身を手刀で払うと、空中でバランスを崩したメアリーの顔面をフルパワーで殴る。
ビチャ!っとみずみずしい音を奏で、脳や骨が壁に飛び散る。
頭の半分がなくなったメアリーの体は、向かってきた勢いのまま後ろの壁にぶつかり、ボロ雑巾のようにずるりと地面に落ちた。
「・・・ひは、ひはははは」
こいつの特殊能力は不死身か?なんにせよ厄介な能力なのは間違いないみたいだ。
まさにゾンビのようにユラユラと立ち上がり、当たり前のように頭を再生させて気味の悪い笑い声を上げた。頭を砕かれてもご機嫌なドMとはなかなかにめずらしいんじゃないかな。
「こんなにいじめられるのなんて初めてです。」
しかし突破口が見つからねぇ。能力の穴を探さねぇと・・・
「もっといきますよ。もっと、もっとです!」
メアリーはふらつきながらも建物の壁と壁を器用に蹴って、屋上へと姿を消した。
逃げるとは思えないが、ゆっくり考えているうちに何しでかすかわからない以上すぐ追わねぇとな。
「エアウィング。」
風属性の中級魔法で飛び、建物の屋根の上に向かう。
「・・・うお!?」
屋根の上に着地するなり視界に映ったのは、こちらに向かって投げ飛ばされた三人の男の死体。
一番最初に飛んできた死体をつかみ、他の二つをそれで叩いて落とす。敵の位置を確認するため死体の飛んできた方を見るが、メアリーの姿より先に目についたのは空中に無数に光る何か。
・・・ナイフだ。
気づくと同時に、四方八方を囲む魔力のナイフが俺に向けて飛来する。風の初級魔法もこんだけ多ければ圧巻だな。
「フォースフィールド!」
球場に展開された魔導障壁ですべてのナイフを防ぐ。しかしすごい量だな。
「すごい!ここまで耐えれるなんて・・・!さすがですねぇお兄さん!でもでも!」
ようやく姿をとらえたメアリーはこちらに右手を向け、その開いた手を握りしめる。
すると、転がっていた死体の中からそれぞれ数本のナイフが飛び出し襲いかかる。
「マジシャンにでもなればよかったんじゃねぇか・・・!」
間一髪ですべてのナイフを避けるが、ここぞとばかりにメアリーが特攻を決め込む。獲物を仕留める獣の顔だ。眼を見開き、眩しすぎるほどの怪しい笑顔だ。
この笑顔を絶やさない精神は営業向きだな。
ザクッ
「くそが・・・」
「あはぁ!!やっと刺さった!!みてみて、私たち繋がってますよぉ!?」
心底嬉しそうに肩に刺さるナイフをグリグリとねじ込む・・・!それとは別に、歓喜に目を輝かせてる顔を間近で見るのはなかなか堪えるな・・・
だけどこれで捕まえた。
「うぐぁ!!」
ナイフを握る手を握力だけで握りつぶし、もう片方の手でボディーブローを鳩尾に叩き込む。
血に染まる腕がメアリーの小さな背中を突き破り、さすがのメアリーも朧気な目をして激しく吐血した。そしてそれを俺はもろに浴びた。
「これでも治せるのか?」
どこの部位かわからないが血まみれの臓器ごと腕を引き抜き、建物の外へとメアリーを投げ飛ばす。
「バーストフレア。」
さらに右手から放たれた炎の球体は宙を舞うメアリーに真っ直ぐ飛んで炸裂した。
「あっがぁぁぁあ!!!」
火だるまになったメアリーは絶叫しながら建物の下の路上へと落ちていく。
早く終わらせねぇと、さすがにトルルに見つかるな・・・そろそろ死んでくれねぇかな。死ななすぎて、まるでディンの相手してる気分だ。
そんな楽しくもなんともない思い出を振り返りながら建物から飛び降りると、そこには動かない黒い何かが横たわっており、近くには数人の野次馬が集まっていた。
しまったな、さすがに人が来たか。
「なんだ?何か落ちてきたぞ!」
「なにあれ、死体!?」
「ひどい臭いだ・・・衛兵をよべ!」
しかしいよいよ世間の目に晒されたな殺人鬼め。仮に生きていても、これでゆっくり隠れて生活なんかできねぇぞ。
「見てあの男、服に血がついてる・・・!あの人がやったんだわ!」
「もしかしてアイツが噂の殺人鬼!?じゃあその黒いのは、被害者か!」
ちょっと待った。なんか勘違いされてる?
野次馬達が騒ぐなか、一人の男がメアリーだったものに近づいて、脈を確認しにいく。
「やめろソレに近づくな!」
俺の言葉より速く、横たわる黒こげのそれは動いた。
「触るな気持ち悪い。」
先程までピクリとも動かなかった真っ黒の焼死体は、いつの間にか手に持っていた魔力のナイフで近づいた男の腹を縦に裂いた。
「きゃぁぁあ!!!」
「うわぁ化け物だぁあ!!」
臓物をぶちまけて崩れ落ちる男の血を浴びながら、メアリーは再び立ち上がる。すでに肌は元通りか。
「本当にひどいなぁ、服まで燃えちゃったじゃないですか。エッチですね。」
さっきまで墨だったのにエッチもくそもあるか。
全裸のメアリーは近い位置にいた女性の目にナイフを突き立てて殺し、雑に上着だけを剥ぎ取り纏った。裸エプロンならぬ裸コートだな。
「困りましたねー。こんなに目撃者がいたんじゃ、ゆっくりこの街で暮らせないじゃないですか。」
とても困ってなさそうに笑うメアリーの一言に野次馬達は戦慄する。
「なにやってんだお前ら早く逃げろ!!」
メアリーは怪しくニヤけると、空気が重くなったような錯覚に陥る。
殺気だ。
逃げようとした野次馬達はその場にへたりこんだり、動けず固まっている。
「こんなやり方は好きじゃないんですけどね。エアスライサー。」
先程俺を囲んだときと同じように、メアリーも含めてこの場の全員がナイフに囲まれる。
今までのより数が多い・・・!
「自分ごとやる気かよ、フォースフィールド!」
すぐさま魔導障壁を展開するが、俺の後ろにいたカップル以外は飛来したナイフでめった刺しになった。
「アハハハハ!!これは気持ちよくはないですが楽しい光景ですね!花が咲くように血が弾けてとてもきれいじゃないですか!」
狂ったように笑うメアリー自身にもナイフは刺さっているが、ナイフが消えるとすぐさま傷も治った。
「お前ら、早くどっかいけ。」
ろくに返事もせずカップルは何度も転びながら離れようとするが、メアリーは逃がすつもりはないらしい。アメコミのヒーローの如く壁を走り、俺の頭上を抜けると、大量のナイフを投げつけてカップルはサボテンのようになってしまった。
「あっははぁ、守れませんでしたねぇ!どんな気持ちですか?」
「俺は正義の味方じゃねぇからな。わざわざ守ってやる義理はないんでね。」
地上に降り立つなり煽るようににやつくメアリーに、少なからず嫌悪感を抱く。話そらそう。
「・・・転生したときにもらった能力は不死になることか?」
「不死ぃ?そんなのつまらないですよ。私は不死身じゃありません。私がもらったのはただの癒しの能力です。」
「癒しか、瞬時に回復するのはもはや『癒し』で片付けられないと思うがな。なんでそんな力を?」
「おや、きいてくれますか。実は、この世界に来るまで私は医者だったんですよ。多くの命に触れながら働いていたんです。」
医者が転生して癒しの力を得る、か。それだけ聞くときれいな話が始まりそうなんだが。
「命を握る感覚ってたまらないんです。私が少しいじれば助かったり、死んだりするんですよ?初めて命を奪ってしまった時、ぞくぞくってしたんです。周りは気にするなっていうんですが、そういう自責の感情じゃなくて、楽しくて、何より気持ちいい感覚。私はそれが忘れられないんです。あの感覚・・・お兄さんにもわかってほしいなぁ。」
恍惚とした表情で身悶えするメアリー。気持ち悪い。
「でもですね、だんだんとただの死だけじゃお腹は一杯にならなくなりました。そこで気づいたんです。ただの殺しなんて、美味しくないご飯を食べてるだけだって。美味しくするのは、私なんです。苦しんで、叫んで、助けを乞い、安心して、そしてまた絶望。こうして調理した先に殺すことの喜びがあるんですよ!」
子供が夢を語るように輝かしい眼でいかれた思想が語られる。こんなやつが医者とかやっちゃダメだろ・・・
「美味しい料理は何度も食べたいでしょ?だからこの力を手に入れたんです。死ぬギリギリまでいじめて、治して、それを繰り返していたら私はずっと絶頂でいられるんです!あぁ、こんな素敵な力が他にありますか?何度も何度も同じ人間を楽しめる・・・とは言ってもしばらくすると、噛み終わったガムのように無反応になるんですけどね。でもでも、トルルちゃんなら1週間は殺しつづけれますね!」
「かなりいかれてるな・・・」
「いかれてませんよ?気持ちいいことをしたくなるのは、動物の本能です。お兄さんだってそうでしょ?」
わざとらしく谷間を強調して見せびらかしてくる。返り血まみれじゃなかったらグッときたかもしれないな。いや無いか。
「お兄さんみたいな強い人であればあるほど、切ったり刺したりするのが楽しいんです。簡単にはいかない感じがなんともたまらない・・・だからもっと楽しみましょう?」
姿勢を低くしたな、また突っ込んでくる気か。
「エアスライサー。」
メアリーの周囲にナイフが浮かび上がる。先程の量に比べれば少ないけど、面倒だな。
浮き上がった魔力のナイフのを一つ手に取ると、予想通り突進してきた。
対して俺はファイティングポーズをとり迎える。
距離が2メートルほど近づいたところでのメアリーの背後を舞う5本のナイフが飛んでくる。それらをギリギリで交わした時点で目前まで来たメアリーがナイフを顔に向けて突き出す。
俺はそれを手首を叩き方向をそらすと、再びメアリーの背後に浮いているナイフが俺の顔面めがけて飛んでくる。
メアリーの放つ攻撃と攻撃の間にナイフが発射されるため、実質隙がない。避けながら攻撃を続けて来るわけだ。地道だがいずれはダメージを与えることができる戦い方だな。
殺すことに執着すればこんな元一般人の女でもここまでの戦闘技術を手にいれるのか。
しかしな、あまり調子に乗らせるとよくない。
横凪ぎの攻撃を身を屈めてかわし、追撃して飛来するナイフを魔導障壁で防ぐ。そのまま地面に手をついた姿勢で、地属性の魔法を唱える。
「クエイク!」
さてと、そろそろ終わりにしよう。ほぼ不死身の化け物なんか、二度と戦いたくねぇわ。
石畳を突き破り隆起した地面が、続けて飛んでくるナイフを弾きながらメアリーの体を空宙に浮かせる。
「おっとっと、なんのつもりでしょうか?」
メアリーは宙に浮かびながらも右手をこちらに向け、周囲を漂うナイフのすべてを一斉に放つ。
「無駄だって。フォースフィールド。」
ナイフはすべて防がれる。
宙に浮いた時点でお前の負け。身動きとれないだろ。
「ブリザード。」
「な・・・!?」
展開された魔法陣から放たれる冷気の塊は
これまでの魔法ほど勢いよく飛んで行ったりはせず、むしろ優しくやんわりとメアリーを包む。
「ま・・・さか・・・」
驚愕の表情を浮かべたまま、メアリーは氷像となった。
惜しいな、地面に落ちる前に凍りきれば粉々になったのに。
特殊属性である氷魔法。扱う難易度も消費魔力も桁違い。でもまぁ生身の人間の身体ぐらいなら氷属性の下級魔法でも十分だ。というか、中級以上は俺でも易々と使えないしな。
「あぁ、つかれた!精神的に!」
思わず路上に大の字で寝転がってしまった。
いやぁほんと、めんどくさい相手だったわ。
そして予想通りだ。癒しの能力は外傷の修復。凍らされても溶かせる訳じゃねぇみたいだ。
こうなっちまったらさすがに再生もできないだろ。さっさと粉々にしてトルルの元へいくか。思いの外長くなったしな。
「はいはいストップー!こっちみてー!」
突如聞こえてきた男の高めの声。
体を起こし声のほうを向くと、ナイフを握る若い男と、それを向けられているトルルがそこにいた。
・・・残業か・・・
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