第2話 チュートリアルかなんかしてくれる人か?
前の転生者来訪から三日後。
俺はまた草原に来ていた。というか来なければならなかった。なぜだかもう予想はできているだろう?
今日も待ち合わせだ。というより俺が待ち伏せているだけなんだがな。
しかしなんだ、今日も今日とていい天気。日差しは温かくこのまま寝転がって寝てしまいたいほどだ。
この前は結局あのバカデカイ剣が目立つからセルティコには行けなかったんだよな。今日はいこう。なんか買いにいこう。
と、そんなことを考えていると空が光る。
やれやれ、もう来たか。寝る前に来てくれてよかったといえばよかったが。
光と共に降りてくるのはまた青年。日本人かな?黒髪が綺麗な男子だ。
お決まりのスキャナーでチェック。
「レベル1、人間、転生者、危険要因・特殊能力」
うわぁ出たよ特殊能力持ちの転生者。
基本的に道具を受け取った系転生者は、所詮レベル1で、この世界のこともよくわかってないポンコツが来るから一瞬でかたをつけられる。
しかしこういう特殊能力持ちは、何もわからない転生者でも脅威になり得る。
「ふぅ・・・ここが異世界か!すげぇ、ホントにこんな世界があるんだ!」
うかれてやがる。
「ん?あんたは、チュートリアルかなんかしてくれる人か?」
「そんなヤツが本当にいるわけないだろ。早速でなんだが、お前には死んでもらう。」
俺がそう言うと、青年はニヤリと笑った。なんかムカつく。余裕があるなこいつ・・・
「はは!お前みたいな立場のわかってない雑魚キャラのことをチュートリアルっていうんだよ。大天使様からもらった力を試させてもらうよ!」
青年は嬉しそうにそう言うとポケットに手を突っ込んだまま後ろに飛ぶ。
すると魔法陣が俺と青年の間に現れた。ちょうど相手が見えなくなってしまった。
「死ねぇ!」
声だけははっきり聞こえる。
と、その時だった。魔法陣から無数の弾丸が俺目掛けて飛んでくる。
「あっぶね。」
とりあえず危ないのですべて魔道障壁で防いだ。いやぁあぶないあぶない。
「いきなりぶっぱなさないで、ご自慢の能力の説明でもしたらどうだ、このチート野郎。」
俺は依然消えない魔法陣の向こう側に呼び掛ける。
「な、なんでまだ生きてる?」
情けない声が返ってきた。魔法陣消してくんねぇかな、邪魔なんだけど。
でも今の反応でだいたいわかった。こいつのチート能力はたぶん大したことないやつだ。一気に余裕がなくなってやがる。
しかし油断大敵。ここは一芝居。
「ぐ、ぐはぁ、もう勘弁してくれぇ。」
・・・さすがにわざとらしかったか?でも余裕ができた人間ってのは得意気に上から話したくなるもんだろうからな。こうでも言ってれば・・・
「なんだやっぱ瀕死じゃんか。驚かせやがって、雑魚キャラのクセに。」
ほら魔法陣解きやがった。
とりあえず腹でも押さえとくか。
「俺を殺すのか・・・?」
「別にどっちでもいい。俺はこの力を試したかっただけだし。」
「この力って?」
「銃火器を召喚できる能力。弾無限で好きな銃も選び放題!やっぱりゲームは無双できないとつまんねぇよな!なぁ、おごふぇ」
何て言おうとしたかは知らないが話してる途中に腹に腕突っ込んで悪かったな。大した脅威じゃないのはよくわかったから。
「が、ごほ、ごぼぉ」
いや何て言ってるかわからん。
「お前はゲーム感覚だろうけど、こっちは現実なんだ。異世界なめんな。」
よし間違いなく死んだな。今日も仕事完了だ。
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