チートバスター

花畑弥生

第1話 ムリゲーでも何でも言うがいい

今日の天気は晴れ。

青く澄みわたる空の下に緑豊かな草原、俺はこの場所が好きだ。

2キロほど離れたところに煉瓦造りの壁に囲まれた街があるのが見える。

始まりの街セルティコ。

平和そのものと言わんばかりの活気とゆったりとした雰囲気を兼ね備えた緩い街だ。

俺はそんなセルティコも好きだ。危機感もなくただのびのびと暮らしている様は見ていて癒される。

まぁ2キロほど離れたところから見ているし城壁に囲まれているからここから中は見えないんだがな。

俺はこんなところで何をしているかって?

待ち合わせみたいなもんだ。そろそろ来ると思うんだけどな。

そんなことを考えてたらほら、来た。

眩い光が草原を包み、なにかが降りてくる。

でけぇ剣だ。

自分の身長より大きく、幅の広い両刃剣を背負った青年がゆっくりと降りてきた。

どれどれ。

俺は魔具をそいつに向けて発動する。

『レベル1 、人間、転生者、危険要因・武器』

スキャナーと呼んでいる魔具に示された文字を読み、俺は思わずにやけてしまう。

「おい小僧、悪く思うなよ。」

一応謝罪はしないとな。

新しい世界に生まれ直して、すぐにその命を終えることになるんだから。

俺は下りてきた人影に向かって駆け出す。

「ガフ」

情けない声だけあげると青年は首から上が弾けとんだ。まさか転生してすぐにラリアットで首を飛ばされるとは思っていなかっただろうな。すまんすまん、ムリゲーでも何でもいうがいい。

「さて、今日も問題なし。」

帰りはセルティコにでも寄って帰ろうかな。

死体は放置。武器だけ貰って俺はその場を後にした。

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