第5話-神様が与えたモノ


神様は退屈していた。


神様は沢山いる。その中でも絵を司る神様は、遥か昔から退屈を嫌っていた。


そんな神様は、昔から退屈を凌ぐ為にある遊びをしていた。



だいぶ血は濃くなった。



そうほくそ笑む神様が作ったゲーム。

それは、全ての絵師の画力が能力に変わる、すなわち、絵を現実に描き出す能力を与えたのだ。

全ての絵師にばら撒いた神の恵みは平等にその血へと刻まれ、それぞれに能力-チカラ-が与えられた。

広く平等に与えられ薄まった能力。

それは簡単に言えば、その神の恵みは濃くなる程にその力を増す。


つまり、戦い、喰らい続けて最後の1人になれば……

ばら撒いた恵みが一つに集い、神に匹敵する力を得られる。


しかし、戦わずともその画力は上げられる。つまりは最初にばら撒いた力よりも遥かに強大な力にもなりうるのだ。

各地で闘争は続いている。

人間に神に匹敵する力が備わったら他の神達はどんな反応をするのか。

長いこと待ち続けていた分、楽しみで仕方がない。


いつしか時は過ぎ去って、世に神絵師や◯◯絵師と呼ばれる存在が出てきた。

SNSなどに投稿される絵、グローバルになった絵の世界は更に広まり、人々は嫉妬や向上心で更に上を目指そうとする。


しかし、ただ普通の絵師に戦わせるだけでは面白くない。


そこで神様は1人の男にこのゲームで勝ち続け喰らい続けていけば神に近づけると伝えた。

彼は正確には絵師では無い、が良い目をしていた。世で悪い奴と騒がれている、無断転載絵師と呼ばれていた。絵を描かない彼には絵師としての能力は無かったが、相手の絵を瞬時に完全コピーして返すというなんともチートじみた能力を授けた。


しかし、結果は信者を作り少しの間小さなグループの頂点に君臨し、悪役として小さな姉妹に敗れた。

だが、あの姉妹の母親もなかなかだった。人2人分の身体を描く力で再生させるとは……。


神様は、人もなかなかに進化したものだとほくそ笑んだ。


いや、それよりも、

能力が、画力が、想像力、創造力が、ここまで強くなったのかと感動に胸を躍らせていた。

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