第3話 無音、響音。
隔離室は無音だった。暴れ回る患者も鎮静剤を入れられればそれまでだ。テレビの音が怖かった。人の声が怖かった。
だけど何も無いのがいちばん怖くて
話をしに来る主治医に
早く向こう(隔離ではない閉鎖)に出してください
と何度もお願いした。
無音だからこそ、小さな音が響いた。
私は受験生だったから勉強していた。
ノートに鉛筆が擦れる音
机と鉛筆がノート越しに当たった音
字を消して揺れる机の音
全てが、無音の隔離病棟に響いた。
入院から1週間と少したった日
OT(作業療法)が始まった
一番はじめはペン習字を選んだ。
久々に、何かを楽しいと思えた。
OTが終わり帰ってきて、
隔離ではない閉鎖へ移動することになった。
周りはお婆ちゃんばかりの、四人部屋だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます