第四話

 平征29年5月10日 花菱女学園校門前


 昨夜は瑠香君の家に泊めてもらったが、朝になるとまだ日が昇る前に始発電車に乗って鎌倉出島の方へ帰った。


 いつもよりだいぶ早く起きたつもりだったが、瑠香君も優さんもすでに起きていて、お店の仕込みを始めていた。


 どうやら優さんのお店は夜は居酒屋として商売しているが、日中は定食屋として営業しているらしくて、そのため朝早くからいろいろと準備をしているみたいだった。


 朝食を、と誘われたが僕も用事があったため遠慮して出発しようとした。が、気を効かせてくれて朝ご飯用のおにぎりとお昼のお弁当まで貰ってしまった。


 僕としてはこれで昨日のことは十分チャラになると思ったが、優さんからぜひお店に顔を出してくれと何度もしつこく誘われてしまったので、また近いうちにお店には行こうかなと思う。


 瑠香君の言った通り優さんの料理の腕は確かなもので、貰ったおにぎりは、たかがおにぎりと言っても、とてもおいしくて、この分ではお弁当の方も期待できそうだった。


 そうして、僕は朝早く学校に来て何をしているのかと言えば、校門に立って登校してくる生徒に対して重装機兵部への勧誘を行っていた。


 これまでなかなか時間が取れなかったが、視察まで残り三日、だいぶ手遅れだとは思うが、それでもいい加減本格的に部員集めをしなくてはまずい。

 

 山下先生や学園長は外部の人間を中心に人を探しているらしいが、正直期限までに間に合いはしないと思う。なので、一般生徒の中から適性のある者に片っ端から声を掛けていくしかない。


 昨日まで空き時間や今朝登校時間が始まるまでに、花菱女学園の生徒の健康診断や体力試験の全データに目を通して、目ぼしい生徒には何人か目をつけている。


 そういうわけで、今日は朝からその目ぼしい生徒に声を掛けるのと同時に、それ以外の生徒に対しても宣伝と言うか勧誘して興味のある生徒を見つけようという作戦だった。


 「あっ、おはようございます」


 校門に立ってだいぶ時間が経過したころ、明るい挨拶が聞こえたか思うと、星良君だった。その後ろには瑠香君と唯里君もいた。


 「おはようございます!」「…おはよう」

 「おはよう、一緒に登校してるんだ?」

 「えっと、私と唯里ちゃんは寮に住んでるのでいつも一緒です。瑠香ちゃんは今日たまたま一緒になって」

 「そうなんだ」

 「それで、教官殿はここで何を?挨拶当番でありますか?」

 「いや、ちょっと部員募集のために勧誘してたんだけど…まあ、そう上手くはいかないね」


 これまでだって学園側も散々募集は掛けてきたのにもかかわらず、成果ゼロと言う現状を鑑みるに、かなり厳しい戦いになるということは予想できていた。


 実際、物珍しさと言うか、重装機兵部がどうこうというより、新しい教官がいるということで興味をもって話を聞いてくれる生徒は多かったが、重装機兵部に入部どころか見学ですら来てくれる約束でさえ取り付けられなかった。


 そもそも、2,3年生は当然のことだが1年生にしたって5月も半ばに差しかかろうとしている今、学校生活にも慣れ、好きな部活にも入り、ようやく学校生活が安定して来たところだろうし、今更重装機兵部に入ろうなんて人がそうそう見つかるわけがなかった。


 「そうなんですか…。私たちも寮に住んでるお友達に声を掛けたんですけど…」

 「大丈夫だよ。ありがとう。部員の件についてはこっちで何とかするから、何も心配しなくていいよ」

 「はい…」


 キーンコーンカーンコーン


 8時の予令が鳴る。


 「あっ」

 「悪いね、引き留めて。それじゃ、また放課後に」

 「はい、それでは失礼します」

 

 そう言って3人は速足で玄関の方へ向かっていったが、瑠香君だけなぜかすぐに立ち止まり、僕の方へ戻ってきた。


 「ん?どうかした?」

 「……今日は…部活出るから…」

 「お店の方は?」

 「兄貴が部活でろってうるさいから…。お店もしばらくは昼間だけ開けて、夜はほかの店で働いてみるって。ま、どうせうち、夜は全然お客さん来ないしね…」

 「そっか…じゃ放課後、瑠香君と部活できるの楽しみにしてるから」

 「…なにそれ。ま、いいけど。じゃ…それだけだから」

 「うん」


 瑠香君は少し照れているのか顔を背けがちだったが少し嬉しそうだった。瑠香君と初めて会った時は、気難しそうというかちょっと問題のある子なのかなとも思ったが、こうして接してみるとかなりいい子だってことがわかった。


 あの様子からして、星良君や唯里君と部活できるの結構楽しみにしていたのかもしれない。


 優さんにしても瑠香君に負担を掛けないように仕事の仕方を変えようとしているらしいし、いい傾向なのかもしれない。


 予令が鳴った後もまばらに生徒たちが登校してくるが、みんな僕と同じく朝早くから校門に立つ生徒指導の辻先生に小言を言われている。


 僕もそろそろ引き上げようと辻先生に一声かけようとすると、逆に辻先生から話しかけてきた。


 「大鳥教官、いい加減懲りましたか?…そもそも、これからの社会を引っ張っていく彼女たちを戦争の駒にしよというのはいかがなものかと思いますけどね」

 「駒なんて…そんな風には」

 「事実を言ったまでです。まったく、いくら理事会からの要請とは言っても、重装機兵部なんて野蛮なものを…ブツブツ…ブツブツ」

 「…はぁ」


 僕は辻先生にばれないように小さなため息をついた。


 辻先生と話したのは今日が初めてだが、乱れなく結い上げた髪と、ビシッと決めたスーツ、銀縁眼鏡の奥に光る鋭い眼光、第一印象から厳しそうというか、はっきり言ってきつい性格の人だと思ったが、実際にその通りだった。


 こっちが勧誘している間、まるで睨み付ける様な視線を向けてきたし、僕に投げかけてくる言葉の節々にとげがある。


 こんな世の中だけど、いや、こんな世の中だからこそ軍隊嫌いの人間は結構いる。それは教師をやっている人間には特に多いと言われていて、子供に重装機兵部を含め子供に教練を行うことを快く思っていない教師が大勢いることは確かだった。


 辻先生のようにあからさまな嫌悪感を示す人は流石に珍しいが、元軍人の教師を除けば反対派の方が多いと考えた方がいいのかもしれない。


 「…ブツブツ…ブツブツ…」

 

 辻先生の小言にどう反応していいか迷っていると、一人の生徒が文句を言うのに忙しくて注意力が散漫になっている辻先生の脇をすり抜け、校門を通過しようとしていた。


 「…ブツブツ…って、緑川さんッ!」

 「は、はいッ」


 そのまま何事もなく通り過ぎれるかと思ったが、辻先生もすんでのところで本来の自分の仕事を思い出したようだ。


 それにしても、緑川と呼ばれた女子生徒はずいぶんと背が高い。


 僕は手に持っているタブレットで緑川さんの情報を探す。確か目星をつけていた生徒の一人に凛君が入っていたと思う。


 「…やっぱりそうだ」


 『緑川凛』一年月組、身長180センチの長身で、体力テストの結果は、持久力は平均程度だが他の筋力や瞬発力などは飛びぬけて高い数値を出している。健康状態も至って良好だし、重装機兵としては申し分ないだろう。


 「あのー…」

 「あなた、これで何度目ですか?いつももっと早く登校するように言ってますよね?」

 「はい…」


 凛君はその大きな体をシュンと縮めて辻先生のお説教を受けていた。


 「あのー、辻先生?」

 「なんですか、大鳥教官?大したことでないのなら後にしてくだ―」


 キーンコーンカーンコーン


 8時15分を知らせるチャイムが鳴る。これから朝会の時間だ。


 「あっ、じゃ先生私もう行きます」

 「ちょ、ちょっと待ちなさいッ!」

 「明日は早く来ますー!」


 凛君は眩しい笑顔を浮かべ手を大きく振りながら猛ダッシュで玄関へ走って行ってしまった。


 (緑川さん…身体能力は高いのに部活には入っていない……当たってみる価値はあるか…)


 ~数時間後~


 「えーっと、中庭ってどこのことだろ…」


 お昼休み、校舎のあちらこちらから女の子たちの明るい笑い声が響く。


 そんな中、僕はまるで道に迷った旅行者みたいに、タブレットに映る校舎の地図と睨めっこしながらうろうろしていた。


 僕はお昼休みの時間を見計らって、凛君の所属する1年月組の教室に足を運んだのだが、途中学園長に掴まってしまって、少々立ち話をしてしまったため、月組の教室に着いた時にはもうすでに凛君の姿はなかった。


 そこで、教室に残っていた生徒に凛君がどこにいるかわからないかと訊いたところ、いつも中庭でお弁当を食べているということだったので、こうして中庭に向かっているのだが…。


 (参ったな…)


 花菱女学園は生徒数に対して随分とその規模が大きく、高等部校舎、中等部校舎、体育館、図書館、大講堂、部室棟などなど多数の建物があり、中庭と言えそうな場所もそういった建物間にいくつも点在していたため、なかなか凛君を見つけることができないでいた。


 僕は腕時計を見る。


 (あと、半分か…)


 気づけばもう昼休みの半分が過ぎていた。


 (急がないと)


 そう思い、タブレットで次の行き先を確認して、気持ち足を速めてつつ、建物の角を曲がったその瞬間、目の前に人が現れた。


 「きゃっ」

 「おっと」


 すんでのところで衝突を避けることができた。


 「す、すみません」

 「はい…あれ、教官?」

 「星良君?」


 僕がぶつかりそうになったのは、本を抱えた星良君だった。


 「これから図書館?」

 「あ、はい。借りてた本を返そうかと。教官はお散歩ですか?」

 「あはは、実質そんなものかな…。一応人を探してはいるんだけど、全然見つからなくて」

 「そうなんですか。あっ、良かったら私もお手伝いしますよ」

 「それは助かるけど…本はいいの?」

 「あ、えっと、本は別に明日とかでも大丈夫なので…それで、誰を探しているんですか?」

 「1年月組の緑川凛君っていう子を探しているんだけど」

 「あっ、緑川さんならいる場所多分わかりますよ」

 「本当に?いや、助かるよ」

 「え、えへへ。そ、それじゃ案内しますね。ここからそんなに離れてませんから」


 思わぬところで助け舟をえることができた。


 星良君によると凛君はいつも高等部校舎と中等部校舎の間にある広場で、数人の友人と昼食をとった後、バスケットボールをして遊んでることが多いらしい。


 「あのー、一つ質問いいですか?」

 「ん?いいけど」

 「緑川さんを探しているのって、どうしてですか?」

 「ああ、ちょっと重歩機兵部に入ってくれないかなって思ってね」

 「勧誘ですか?うーん…」

 「何かあるの?」


 星良君が難しい顔をする。


 「緑川さんはとっても人気者なんです。いろんな部活から声を掛けられてて、だからちょっと難しいかもしれません」

 「そっか…でもまだどこにも入部してないってことは、うちの部にも可能性はあるってことだし、声を掛けてみる価値はあるかなって」

 「そうですね」


 どうしてか星良君は少し嬉しそうな顔をしていた。


 それから歩いて3分もしないうちに、高等部と中等部校舎の間にある広場の方へ到着した。そもそも、1年生の教室からそんなに離れていなかった。どうやら僕は随分と遠回りをしてしまっていたみたいだ。


 「ほら、あそこにいますよ」


 広場の一角にバスケットゴールがあり、そこで数名の女子生徒が遊んでいて、その周りにも見学しているのかそれとも、休憩しているのかはわからないが、何人かの生徒がベンチに座っていた。


 「それじゃ、ちょっと声かけてくるよ」

 「はい、頑張ってください」

 

 僕がバスケットボールしているところに近づいていくと―


 「こんにちはー」

 「「「こんにちは」」」


 一人の生徒が僕に気付いて元気な挨拶をすると、周りの生徒もつられたように元気な挨拶をしてくれた。きっとこの感じは運動部の生徒達なんだと思う。


 「こんにちは。悪いね、邪魔しちゃって。あの…ちょっと凛君に話があって」

 「えっ、私ですか!?あっ、もしかして、朝遅刻したからですか!?」


 周りから少し笑い声が聞こえる。


 今朝校門で凛君を見た時も思ったが、こうして間近で見ると本当にその背の高さが実感できる。僕の身長は177㎝だけど、その僕より目線が少し上にある。事前に確認した情報だと180㎝とあったが、それよりか幾分高く感じる。


 しかし、そんな長身に似合わず、と言ったら失礼になるというか、これはこれで美人に見えるからむしろ間違いになるのだが、ぱっちりとした大きな目と、柔らかそうな頬っぺたのせいか、凛君の顔は高校生にしては少し幼めの印象だ。


 なんて、いつまでも凛君に見惚れているわけにもいかないので、さっそく本題に入ることにした。

 

 「いや、遅刻とは関係なくて、えっと、凛君に話って言うのはさ…」


 ………ジーーー………


 なんだか周りからの視線が集まり過ぎていて、少し話しづらい雰囲気だ。凛君も落ち着かない様子で、周りをきょろきょろと見回している。


 (今ここで勧誘して大丈夫だろうか?)


 そんな風に思った時だった―


 「あの、教官さん?」


 木陰のベンチで座っていた少し派手目な生徒が話しかけてきた。耳に小さなピアスを付けて、背中までの髪に緩やかなウェーブがかかっている。


 「ここじゃ、あれなんで落ち着けるとこに行きましょう?」


 その派手めな少女は左目のなき黒子が印象的で、どこか蠱惑的な魅力があって、なぜか危ないと感じる。


 この感覚には覚えがあった


 だが、僕はそれを否定するように―


 (ただの錯覚だ)


 そう、自分言い聞かせた。


 「え、ああ、そうだね」

 「凛もそれでいいでしょ?」

 「うん、そうだね」


 と言うわけで、僕と凛君と星良君、そして栗色の髪をした所謂ギャルっぽい印象の白藤美沙≪シラフジ ミサ≫君の4人で広場から少し離れた、図書館近くのベンチまで移動してきた。


 まだ遠くから何事かとこちらを伺っている生徒はいるが、教官の僕を怖がっているのか、近づいてくる様子はない。とにかく囲まれていた時よりは随分と話しやすい環境になった。


 (まあ、別に人に聞かせられないような話をするわけじゃなかったんだけど…)


 こうしてわざわざ人気の少ないところに移動したことで、何か重要な話なのではないかと凛君もすっかり身構えてしまっている。


 「えっと話って言うのは、まあ、その、大したことじゃなかったんだけど、凛君って重装機兵部に興味とかないかな?」

 「…それってあのロボット動かすやつですよね?」

 「ま、まあそういうやつだよ」


 凛君はなぜかロボットダンスっぽい動きをしていた。


 「うーん…でも私大きいですよ」

 「えっ?」

 「いや、大きい人はロボット乗れないんじゃないですか?」

 「それ、私も聞いたことある気がする」


 凛君の発言に美沙君も反応する。


 確かに凛君たちが言うように一般的には重装機兵は小柄な方がいいとされる。理由は単純で、重装機の操縦席はとても狭いからだ。特に初期型の四八式やそれ以前の重装機が主力だった時代は、基本的に身長160㎝以下の人間しか重装機兵になれなかった。そのため、昔から重装機兵には男性より比較的小柄な女性が多く配属されていた。


 だが、現行主力機である六六式は170㎝後半の僕でも問題ないぐらいのスペースは確保されているし、これから部活で使用していくことになる四八式Ⅲ型でも六六式に合わせて操縦席が拡大されている。それにもかかわらず、現在でも重装機兵に女性が多いのは慣例的な面ももちろんあるが、そこには体力の男女差と言うものがある。


 今どきこういうことを言うと男女差別だと言われるかもしれないが、男女間ではどうしても体力に差が出てしまう。しかし、陸軍としてはこのご時世一人でも多くの兵を確保しておきたいため、体力に勝る男性は歩兵や工兵などに、女性は重装歩兵や戦車兵とするかもしくは後方の部隊に配属するなどして、住み分けを行ってきた。


 なので、僕のような男の重装機兵は最近でこそ増えては来ているものの、いまだ少数派であることに変わりはなかった。


 「それはもう結構昔の話で、今は大丈夫だよ。凛君よりは少し小さいけど、僕も重装機兵だったからね」

 「そうなんだ~。実は私ここ入学するときに、そのロボット部にちょっと興味あったんですよ~」

 「ロ、ロボット部じゃなくて、重装機兵部ですよ」


 僕は気にしないことにしていたが、星良君が控えめな声で間違いを指摘した。


 「うーん…でもロボット部の方がかわいいよ」

 「そ、そうかな…」

 「そうだよ。うん、ロボット部、なんかいい気がする」

 「え、えっと、きょ、教官はどう思います?」


 星良君がすがるような目で僕を見てくる。


 (いや、どうって言われてもな…)


 「はいはい、重なんたらでもロボットでもいいけど、凛、あんたこのままその部活に入る気?わかってないかもしんないけど、その部に入ったらクラス変わっちゃうんだよ?」

 「えっ、クラス変わっちゃうの?」


 美沙君がやっぱりわかってなかったか、と言った感じで小さくため息をつく。


 「それに、卒業したら軍に入ること確定だし、言っとくけどそんな簡単に決めていいことじゃないからね、ってこんな話本当は教官さんがしなきゃだと思うんですけど」


 未彩君が少し挑発するかのような口調で言う。


 「そうだね、先にそのあたりを説明すべきだったね。ありがとう未彩君、代わりに言ってくれて」

 「どういたしまして」


 未彩君が意外と気の強い性格で僕は少し驚いていた。


 実は未彩君については一目見た時に誰かわかっていた。と言っても以前からの知り合いと言うわけではなく、全生徒のデータを見ているときに体力検定の項目がほとんど空白になっていたから印象に残っていたのだ。あとで山下先生に聞いてみたところ、未彩君は体が弱く基本的に運動ができないらしい。


 だから、勝手に病弱な感じのか弱い子だという先入観があった。


 「それでどうかな?」

 「うーん。美沙ちゃんの話を聞くとすぐに決めちゃうのはな~」


 未彩君の話を聞いて迷っている感じだ。でも、迷っているってことは脈はあるということだ。ここでもう一押ししたいところだが、確かにこれは凛君の今後の人生を左右する大きな決断だ。こちらの都合ばかりを押し付けるわけにもいかない。


 「もちろん、すぐに決めてなんて言わないよ。そうだ、今日の放課後時間あるかな?」

 「今日ですか?暇ですよ」

 「それなら、放課後重装機兵部の部室来てもらっていいかな」

 「いいですけど…?」

 「やっぱり、見学してもらって決めてもらった方がいいかなって」

 「ああ、そういうことですね。わかりました。それじゃ放課後お邪魔します。えっと、星良ちゃんもよろしくね」

 「えっ、あっはい。こちらこそよろしくお願いします」

 

 慌てて頭を下げる星良君をなんだか可愛らしく感じながらも、僕は今日の放課後のことを考えていた。


 (ちょっと、無理言って準備してもらおうかな)


 僕はそれからすぐに、佐藤少尉と連絡をとった。

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