シキミのための魔術エチュード《魔導力学 その2》
樒「こんにちは! 樒です!」
杏華「杏華よ。幕間の公開授業、皆も樒ちゃんと一緒に勉強していってね」
杏華「今回のテーマは『魔導力学 その2』ということで、前回に引き続き魔導力学について説明していくわ」
樒「先輩、前回は『砂鉄を指で動かして磁石を動かすのが魔術』と言うので終わったんですが、これって一体どういう事なんですか?」
杏華「そうねぇ、あの例えに沿って物凄くざっくり言っちゃうなら、『砂鉄を固めて鉄棒にする』ってところかしらね」
樒「すごい、力業」
杏華「そう、ゴリ押しよ。幽界と実界が互いに及ぼし合う力の相関はフォン=ゲールマンの公式で示されるように非対称なもので、幽界に存在する定常密度の
杏華「ならば! 魔力子の密度を上げに上げてしまえ! そうすれば磁石だってなんだって動かせるはず! ……なんてやってたら本当に動いちゃったのが魔導ね。」
樒「なんだか魔術の中核をなす学問のはずなのにニュアンスが適当ですね」
杏華「それもそのはず、魔導や魔術、あるいは呪術の歴史は紀元前まで遡ることが出来るんだけど、こういう物理学と結び付けた学問として体系化され始めたのは魔力子観測器が発明された19世紀初頭の話。つまるところ、魔導・魔術は結果が先にあって、理論は後付けされたものなの」
杏華「1802年にゲールマンが魔力子観測器で思念による魔力誘導現象を証明するまで、魔術は神智学の一端……非科学的な神秘現象の正当性を示す証として扱われていたのよね」
樒「……」
杏華「話を本題に戻しましょう。魔導が思念によって魔力子を動かすものだっていうのは前々回、魔力子が物理現象に合わせて移動したり波打ったりするのは前回説明したわね。」
杏華「さっき話したゲールマンが魔力誘導を証明した折、人間の思念と魔力子の運動の間に一定の法則性がある事を見出したの。これがゲールマンの法則よ。それで――」
樒「はいっ!」
杏華「あら、質問かしら?」
樒「先輩、尺がヤバいです!」
杏華「あら、もうこんな時間。続きは次回にしましょうか」
樒(何とか頭の中を整理する時間を作ってもらえた……)
~終~
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