シキミのための魔術エチュード《魔術とは》

樒「こんにちは!導樒です!」


歩「風見鶏歩だ! 幕間の公開授業、皆も樒ちゃんと一緒に勉強してってね!」


歩「第一回目のテーマは『魔術とは』だよ。突然だけど樒ちゃん、魔術とは何でしょう? お答えください」


樒「えっ!? えーと、幽界に流れる魔力子エーテルを感情の持つ力で揺らがせて物理現象を再現する業……でしたっけ?」


歩「半分だけ正解。それはどっちかって言うともっと広義の“魔導”の説明だね。」


樒「んん? 魔導と魔術って別なんですか?」


歩「うん、魔術は魔導の1ジャンル、というか魔導を比較的安全に扱うために編み出された技法ってところかな」


歩「樒ちゃんの答えに捕捉を付け足しながら説明していくね。魔導、もとい“魔力誘導”というのは人が持つ感情と思念のエネルギーで魂を駆動して、幽界に流れる魔力子エーテルに風を起こすことで、物理現象の近似値を発生させる業だよ」


歩「んでもって、魔導の発動を言葉であったり文字であったり、はたまた動作だったりによって規格化したのが魔術になる。“魔力誘導安定化技術”、略して魔術」


樒「そんな面倒なことしてるんですね……なんでわざわざそんな事するんです?」


歩「人間の感情ってのはあいまいで他人に伝えづらいし、突発的な出来事の前には制御も難しいでしょ?」


歩「弟子に魔導を教えたくても具体的に伝えられないから習熟に何十年もかかるのは面倒だし、悲しみや怒りに呑まれて魔導が暴走! なんてのはシャレにならないから、そのための対策ってとこ。」


樒「これで区別はつきましたが、ざっくりしてて分かったような分からないような……。 そういえば、そもそも魂って何なんでしょう……? あと幽界とかもよくよく考えたら言葉だけしか知らないです」


歩「その辺の細かい話はまた次回にしましょうか。尺もあるし今日はここまでで!」


樒「次に備えて予習してきます……」


~終~

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