サバサンド

「パパー、起きてー! おまんじゅう食べに行くんだよね? 」

 そういって柊が俺の上に乗っている。

「あぁ、うん…? もうそんな時間? 」

 不思議に思い目覚まし時計を見ると時計は朝の5時を知らせていた。


「あれ? まだ5時だよ? もう少し寝ようよ…」

 そういって寝ようとすると柊が俺の上で手足をばたつかせて

「もぉ~っ、起きるの! 起きるのパパ! それで朝ごはんとお昼のサンドイッチ作るの! それでおやつはおまんじゅうなの! 」

 どうせならお弁当作るから高速道路のパーキングで食べようとは言ったけど…。


「いつもママがご飯作ってくれてるからパパと柊で作ろうって言ったじゃん…」

 そういえば言ってたな…。

「分かった、ママが起きる前に作っちゃうか! 」

 上半身を起こして柊の頭を撫でると柊は嬉しそうに笑って腕捲りをして『まかしぇて!』とはしゃいでいた。

◆◇◆◇

 包丁を持たせての調理は危ないので柊には洗ったレタスを一口サイズにちぎってもらっている。

「パパ、出来たよ♪ 」

 柊の持ってきたボールを見るとレタスは一口サイズになっていた。

「おっ、スゴいじゃん! じゃあそのレタスをこのマヨネーズを塗った食パンに載っけてもらえる? 」


 そういって見本を1つ作ると柊は頷いて

「もちゅっ…、もちろんまかしぇて! 」

 柊は俺が教えた様にパンにレタスを載せていく。

「パパ柊ね、おしゃかなさんを入れたい!」

 そういって柊は鯖を持ってきた。


 鯖! それをサンドイッチに入れるの! えっ…、どうしよう…。

 俺がじっと鯖を見つめていると柊が首を傾げて俺を見つめてくる。

「大丈夫! パパに任せて! 」

 そうは言ったもののどうしよう…。


 確かトルコではメジャーなサンドイッチだったはず…。

 レシピを思い出そう。


『レシピ』

鯖 半身

★小麦粉 大2

★ドライバジル 小1

★ドライタイム 小1

★ドライローズマリー 小1

★黒胡椒 少々



・オリーブオイル 大2

・ソフトバケット

◎オリーブオイル 適量

◎粒マスタード 適量


・ブルーチーズ 2切れ ※カマンベールやブリーなどでもOK

・サラダ菜 適量 ※好みの菜っ葉類でもOK

 

 よし、使う材料は揃ってる。

 まずは軽く鯖を水洗いして、さっと茹でて氷水で身を引き締めてキッチンペーパーで水気をきる。

 そして★を鯖にまぶして両面をオリーブオイルでこんがりと焼く。


 ソフトバケットに◎を塗ってその上にサラダ菜と焼いた鯖、ブルーチーズをのせて最後に黒胡椒をふって…。

「出来たよ柊♪ パパ特製のサバサンド! 味見する? 」

 そういって柊を見ると柊は頷いて

「鯖さん美味しそう! 食べたいパパ! 」

 そういってサバサンドを味見と称して食べていく。


「うぅ~んっ! パパ! 鯖さん美味しいよ! でもママの方が美味しいかも! 」

 そうなんだよな…。何故か同じ材料と同じ作り方なのに吹雪ちゃんの方が美味しい…。

 1度急速冷凍した方が美味しいのだろうか?


「でもパパのも美味しいよ! だから元気出して! 」

 そういってムシャムシャとサバサンドを食べていく。

「おはよ~う、あっ! 本当に朝ごはん作ってくれたの? ありがとう♪ 」


 そういってテーブルの席に着く。

「うわっ、このサバサンド美味しいね♪ 柊、パパに美味しいって伝えた? 」

 柊は頷いて

「うん、ママの次に美味しいって言ったよ♪」

 それを聞いた吹雪ちゃんは苦笑いをしていた。

◆◇◆◇

「酔い止めも飲んだし2人とも忘れ物無い?」

 そう尋ねると2人は頷いて

「大丈夫だよ♪ 」

「パパ! レッツゴー! だよ? 」

 大丈夫そうなので俺は車を走らせる。


「パパ~、なんだかママが辛そう…」

 あとちょっとなんだけどな…。

「あと少しだから♪ ね? 」

 そう声をかけると吹雪ちゃんはOKサインをして紙袋をセットし始めた。


「柊、ママをよろしくね♪ 」

 揺れがひどくならない様に慎重に進んでいくことにするとはいえやはり山道、凸凹と起伏が激しい。

「うみゅぅ~」

 吹雪ちゃんが苦しそうに言葉を発している。 


「パパ、ママが苦しそうだよ」

 そういって柊はオロオロしている。

「落ち着いて柊、柊は気持ち悪いとか体調は平気? 」

 柊に尋ねると柊は頷いて吹雪の背中を擦っている。

「あっ、それ…」


 背中擦るのは逆効果だと思ったんだよね…。

 案の定吹雪ちゃんは紙袋に吐いてしまった…。

◆◇◆◇

 車を走らせて2時間40分経った…。

「SAに着いたよ…。高速に入ってからは大丈夫みたいだけど…。そろそろ休憩する?」

 そういって車から降りて吹雪のもとに行くと…。

「うん、なんとかOK? 舗装されてない山道と比べると断然いいよ♪ 」


 そういって吹雪は車から降りて身体を伸ばす。

「パパ、ママ! お昼ご飯食べたい♪ お腹空いちゃった! サバサンド食べたい! 」

 確かにお腹もへってるし、お昼にしよう。

 俺達はテーブルに座って柊は今朝作ったサバサンドを吹雪ちゃんはプリンサンドを食べる


『プリンサンドのレシピ』

 材料

 食パン 2枚

 プッチンプリン 1個

 牛乳 大さじ1~2


 作り方

1 プリンと牛乳を混ぜ合わせます。

2 パンを4等分して混ぜ合わせた1をサンドします。

3 それをトースターでこんがり焼きます。

  完成!

 

 俺は無難にレタスとハムのサンドイッチを食べる。

「パパ! アイシュ食べたい! 」

 サバサンドを食べ終えた柊がソフトクリームを指差して俺の腕を引っ張ってくる。

「私も食べたいな♪ あとあっちのたません? も食べてみたい♪ 半分こしよ♪ 」


 これから温泉に行くんだけどなぁ~。

「分かったよ♪ それだけだからね? 」

 そういって俺はそれぞれにソフトクリームを買って俺と吹雪でたませんを半分こして俺のを更に半分こして柊に渡す。

「わっ、パパありがとう♪ 甘いもののあとにはしょっぱいものだよね♪ 」

 2人とも幸せそうに食べてるよ…。


「それじゃあ飲み物買ってから温泉に向かって出発しよっか♪ 2人ともトイレ行っておいてね♪ 飲み物買っておくから何がいい? 」

 2人に尋ねると

「「イチゴ牛乳! 」」

 そういうと2人は顔を見合わせて笑っていた。


「りょうかーい! 」

 そういって俺は2人と分かれて飲み物を買いに売店に向かおうとすると後ろからトテトテと駆けてくる音がして

「パパ! だ~い好き! 飴ちゃんも買って♪」

 そういって俺の腰に柊が抱きついてきた。


「分かったよ♪ ママにはナイショだからね♪」

 こんな可愛い笑顔にお願いされたら抵抗するの無理です。なんだろうダメパパになりそう…。気をつけなきゃ…。

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