町に出かけよう!

「アレも足りないな…」

「岳くん! 食器用洗剤も足んないよ! 」

 ジイちゃんの家に来るときに買ったのが食料品だけだったのがマズかった…。


 時間は遡ること数時間前…。


「ねぇ~岳くん、キッチンの蛍光灯なんだけどチカチカするから変えたいんだけど、どこにあるかな? 」

 吹雪ちゃんがそう尋ねてくるので俺は地下にある食糧庫兼倉庫の中を探すと何も食料品以外なにも無かった…。

「ヤバい何もない…」


 時間は戻り、現在…。


「ティッシュも予備が無いな…」

 吹雪ちゃんは2階の足りないものを、俺は1階の足りないものを確認する。

「岳くん2階は色々と足りなかったよ! 」

 そういって吹雪ちゃんが足りないものを書き出したメモを渡してくれる。


「そっちも色々足りなかったんだね…」

 受け取ったメモにはぎっしりと足りないものが書かれている。

「まだ本格的に雪が積もってなくて良かったね♪ 雪が積もったら行きはよいよい帰りは地獄だからね♪ 行きはそりでスイ~って行けるけど帰りは荷物を乗せた轌を引っ張りながらだからね…」


 荷物で重くなった轌を引きながら山登り…。確かに地獄だな…。

「それじゃあ町まで買い物に行くか! ついでに吹雪の洋服も買ってこよう! いつも和服だと着るの大変でしょ? それに吹雪のスカート姿とか見てみたいし…」


 そういうと吹雪ちゃんは恥ずかしそうに身体をクネクネさせて顔を真っ赤にしていた。

「それじゃあ吹雪、エコバックとメモを持ってくれる? それとシートベルトはしっかりしてよ」

 そういって俺達は車に乗って町にむかって車を走られたんだけど…。


「うぅっ、道がでこぼこしてて気持ち悪いよぉ~」

 助手席でエチケット袋を抱えた吹雪ちゃんが居る。

「大丈夫? 町まであと少しだから頑張って! 」

 もう少しで山を下り終えるから道もちゃんと舗装されて揺れが小さくなるから!

 だけどその願いは虚しく吹雪ちゃんは隣でエチケット袋を使った。

◆◇◆◇

「うわぁ~! スゴい!色んな物がある! 」

 吹雪ちゃんを連れてきたのは安さの殿堂『ドン・キ・ホーテ』

「ここは、安いしある程度の物は揃うから食料品と吹雪ちゃんの洋服以外はここで買っていくよ♪ 」

 メモに書いてある蛍光灯やトイレットペーパー、それとティッシュ、洗剤洗剤や食器用洗剤を買いだめしておく。


「うわぁ多いね♪ これでもしも雪で下山出来なくなっても何とかなるね♪ 」

 そうならないのがベストなんだけどね…。

「ねぇねぇ岳くん! この服どうかな? 」

 そういって吹雪ちゃんは仮装パーティー用のアリスの メイド服を持ってきた。


「ねぇ可愛い? 」

 レジで精算中に持ってくるなよ…。それにここだと褒めづらい…。

「うん、めっちゃ可愛いよ♪ それも買う? 」

 うわぁ~、女店員さんが吹雪ちゃんに『彼氏君照れてるね♪ 』ってニヤニヤしながら話しかけてるよ…。


「彼氏じゃないです♥ 私の旦那様です。この服を着ていっぱい愛してもらうんです♥」

 そういって吹雪ちゃんは避妊具と一緒に服を会計に出した……。フゥワァッ!? 何て物を!?

「へっ、へぇ~っ、こっ、コスプレしてヤルんですね…(変人…)」


 女店員さんは俺を見つめてそう呟く。

「えっ…と、吹雪コレも買うのかな? いらなくない? 」

(生でヤルんだ…)

 さらに冷たくひややかな目で俺を見つめてくる。

「えっ、何もつけないでいいんですか? でも雪が積もったら病院に行くの大変ですよ?」

「えっと……買っていきます」

「合計3万9,800円です♪ (爆死しろリア充)」

 

 俺は顔を真っ赤にしながら商品を買って車に詰め込み店をあとにした…。

◆◇◆◇

「岳くん、ご飯の材料は何処で買うの? 」

 舗装された道のおかげか車に乗っていても大丈夫な様だ…。

「食料品はここの近くにあった業務用のスーパーに行こうと思うけど、そのまえに吹雪の洋服を買いに『しもむら』と『ウニクロ』に行こう! 」

 俺は車を走らせ『しもむら』に着いた。


「うわぁ~! 綺麗な服がいっぱい! ねえねえ! 岳くんは私にどれを着てほしい? 」

 綺麗な服だねぇ~、でもね下着だからねそれは…。店員さんも俺を訝しげな目で俺を見ないでください! 本当にお願いです! 精神的に色々削られるので…。

「私はこっちの水色のほうが可愛いと思うんだけど、どうかな? 」

 そういって身体に当てながら俺に見せてくる。


「かなり可愛いよ…」

 なにコレかなり恥ずかしいんだけど! 店員さんが温かい目で俺達を見てくる……。

「本当に♪ やった! じゃあコレと少し違ったコッチの黒も買おっと♪ 」

 下着を5着上下セットでカゴに入れる。サイズを計ったらE75だった…。和服だから気づかなかったけど吹雪ちゃんって大きいみたい…。


 そして吹雪はチェック柄のスカートなど数点も購入して和服から洋服に早速着替えている。

「彼女さん可愛いですね♪ いつも和服なんですか? 」

 店員さんがニコニコしながら俺を見つめて嬉しそうに微笑みかけてくる。そりゃあそうだよな…、いくら安いとはいえこれだけ買えば結構な値段いったもんな…。いくらかは言わないけど…。


「岳くん、どうかな? 」

 試着室から洋服に着替えた吹雪ちゃんがモジモジしながら出てきた。

「どうしたの岳くん? 私おかしいかな? おーい? 岳くん~? 」

 ヤバい、俺の暫定嫁がメチャクチャ可愛いすぎるんですけど! どうしよう何も言葉が出てこない…。


「彼氏君、あなたのことが可愛すぎて見惚れちゃってるのよ♪ 今よ! キスして王子様の目を覚まさなきゃ! 」

 いらんこと言わないで…? でも吹雪ちゃんからまだ1度もされてないかも?

「えっ? えっ! キッ、キスですか? いいんですかね? 」

 そういって吹雪ちゃんは顔を真っ赤にしながら近づけてくる。


 チュッ♥


「きゃぁ~!もう初々しくて2人とも可愛い! 私、応援してますからね♪ 」

 そういって店員さんは終始興奮していた…。


「岳くん、絶対意識あったよね? どうしてポーっとしてたの? 店員の言ってた通りなの? 」

 車に乗ると吹雪ちゃんがそう尋ねてきたので俺は恥ずかしくなりながらも頷くと吹雪ちゃんは嬉しそうに笑っていた。


 なんだろう…、自業自得かもしれないけど精神的にかなり疲れた…。

 とは思いつつも最後に業務用のスーパーに寄って食料品を買って家に戻ることにした。

(帰りはちゃんと酔止めの薬を吹雪ちゃんに飲ませました)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る