一.ある都市生活
1.同級生
ミエコちゃんが俺を拒絶したのは三月におこなわれた同窓会の帰り際でのことだった。
ちょうどその日、同窓会でケンジと交わした会話でも、俺は自分が典型的なこの都市の、この文明の男であるのを再確認していた。
ケンジは近ごろ街コンに行っていると言っていた。
何をいまさら、ではある。
が、そうだよな、とも思う。
ケンジは女には困らないほうだから、別に必死こいて街コンに賭ける必要は無い。
しかし、女はどれだけいたっていいのだ。
服が増えすぎたら選んで捨てるように、女も捨てるべきときには捨てなければならない。
それだけのことだから、足りなくて困る事はあっても、多すぎて困る事はない。
それで街コンといえば、五千円足らずで十人ほどの出会いがある。
悪い話ではない。
「収穫はあったの?」と俺は訊いた。
「まあな」と、これだけでだいたい通じる。
「かわいいコはいた?」と重ねて訊くと、「普通のコはいたよ」とケンジは言った。
俺は「普通のコが来てくれてれば十分だな」と言って、お互いに軽くうなずいた。
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