No.3
正直告白はどちらからしたか覚えていません。
とても大事なことなのに、ごめんなさい。
でも、私があなたを好きなこと、あなたが私を好いてくれていること、それは言わずとも伝わっていましたよね。
きっと私が堪えきれなくなり、好きだと伝えたのでしょうね。そんな気がします。
でも、付き合おうとはどちらも言いませんでしたね。
今更ではありますが、正直に話してしまおうと思います。
ここまで親しくなり、好きと言っておきながら変な話ですが、私は怖かったのです。
名前のある関係になって、その後離れてしまうのが。
初めての彼氏とあまりいい別れ方をしていなかったせいもあるかもしれません。
私はお付き合いをするということに対して、一種のトラウマにも近い恐怖を抱いていたのです。
それを感じていたのか、察してくれていたのか、あなたは何も言いませんでした。
そして月日が流れ、私とあなたは曖昧な関係のまま進んでいきました。
そんな関係を打破したのは、あなたでしたね。
付き合ってほしい。
その言葉が怖かったはずなのに、とてもとても嬉しかった。
迷いはありませんでした。
あなたのそばに居たかった。
その想いだけでした。
けれど、いつの間にかあなたの優しさが当たり前になってしまって、私はたくさんあなたに酷いことをしてしまいました。
泣きそうな私に車を飛ばして会いに来てくれて、ずっとそばにいて慰めてくれたこともありましたね。
時には優しく叱ってくれましたね。
わがままばかりの私を、あなたはいつも笑って許してくれて、受け入れてくれていたことに甘えていました。
普段からもっと大切だと好きだと言葉にして、伝えればよかった。
あなたがつらそうな時、無理矢理にでも話を聞いてほんの少しでもあなたの荷を軽くする手伝いをすればよかった。
今思うとあなたにできたことが、たくさんたくさんありました。
気がつくのが遅くなってごめんね。
そんな至らない私をあなたは愛していると何度も言ってくれました。
大切に思っていることをいろんな形で示してくれました。
ありがとう。
私は普段あなたへの気持ちや思ったことを口に出すタイプではなくて、度々あなたを不安にさせてしまっていましたね。
ごめんね。いつもあなたへの愛と感謝でこころがいっぱいでした。
そんな幸せな時が狂ったのはいつからでしたっけ。
あなたは仕事が変わって忙しくなり、連絡が取りにくくなり、会う回数も減りました。
私も私で新しい知り合いや繋がりができて、そちらの方に思いが向いていました。いえ、向けていました。
実を言うと、あなたからの今までの並々ならぬ滝のような愛に慣れいていた私には、思うようにあなたに触れられない世界がつらかったのです。
その逃げ口として新しい関係を構築し、忙しくしていました。
拗ねていたし、いじけて意地にもなっていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます