No.2
その後色んなことが重なり、あなたと出会ったあの場に私は顔を出さなくなりました。
あなたのことが頭の中になかった訳では無いのですが、それ以上にほかのことに私は気を取られていて、自分から動く余裕がなかったのです。
少しして、あなたの顔が浮かんで久しぶりに顔を出しました。
雰囲気が変わったな、と思ったのを覚えています。今までは少年だったのがすっかり大人の男性になっていて、少しドキッとしました。
恋愛感情として意識し始めたのもこれがきっかけかもしれませんね。
ですが、あなたとはなかなか話せませんでした。あなたと話すためだけに行ったわけではないし、と心の中で言い訳をしてたけど、ほんのちょっと寂しかったです。
時間も遅くなり、そろそろ帰ろうと後ろ髪引かれながら玄関から出たとき、後ろから走ってきて声をかけてくれましたね。
驚いた風を装ってしまったけど、内心やっとお話出来た!と歓喜に打ち震えていました。
その場で立ち話をしましたね。
前に話してたマンガを貸すのっていつ行けばいいかな?
そう言ったあなたに、あれはお世辞ではなく実現するのかと思い、嬉しく感じました。もちろん漫画も読みたかったのですが、あなたに会う口実ができたこと、それが何よりも嬉しかったのです。
その後あなたはあまり間を空けずに私に会いに来てくれましたね。
お仕事でお忙しいだろうに、と申し訳なく思う気持ちと、それ以上に会いに来てくれたこと、二人で話せることが私の心を喜びと幸せで満たしてくれました。
他愛のない話ばかりでしたが、あなたとSNSを交換できたことは大きな収穫でした。
メールでのやりとりも充分楽しかったのですが、こちらの方が、よりはやく多く親密に話せる気がしたのです。
その後もあなたは漫画を貸すのを口実に何度も会いに来てくれましたね。
だんだんと回数も増えて、週に何回か会うようになりましたね。
あなたが誠実で真面目でユーモアがあり、とても優しい人だと話せば話すほど知り、益々あなたに惹かれていきました。
いつから漫画が間になくても会うようになりましたっけ。記憶にはないのですが、いつの間にか会いたいと言うだけで、会いに来てくれるようになりましたね。あなたから足を運んでくれることも多くありました。
というより、私が会いたい、とあまり口には出さなくて、あなたが会いに行くよといつも何かと理由をつけて、時には理由もなく来てくれましたね。
夜に電話をしてそのまま朝を迎える、なんてことも何度かありましたね。
イヤホンから流れるあなたの声は心地よくて、好きでした。あなたと繋がっているというただそれだけで幸せでした。
あのあなたと過ごす何も無い平和な時間が好きでした。
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