No.1
はじめましての時から好きでした。
いわゆる一目惚れというやつです。
私の周りの人は私のことをよく評価してくれていて、少なからず私は私自身のことをすごいと心のどこかで思っていたのです。
けれど、それはあなたとの出会いによって打ち砕かれました。
あなたは今まで出会った誰よりも若くて、けれどもその中で一番尊敬できる人でした。
あなたのような人になりたいと、心から思いました。
はじめて会ったのは私が小学校6年生の時でしたっけ。
「初めまして。ようこそいらっしゃいました。」
そう通りがかりに声をかけられて。爽やかな初春の風のような人だな、とぼんやり思いました。そして、きっと私はこの人のことを好きになれる、と心のどこかで確信していました。
好青年。そんな言葉がぴったりな人気者で。
相手のことをたくさん褒めて、適度な相槌と質問。聞かれれば自分の話もわかりやすく、相手が突っ込みやすい形で話す。そんなあなたは人気者で、女性にも男性にもいつも囲まれていましたね。
特に女性からの人気は高くて、周りに女子がいる時はなかなかあなたに近づけませんでした。
それでも、私はとにかくあなたと仲良くなりたくて、きっかけを見つけてはあなたの元へ行きました。あなたの視界に少しでも長く入りたかったのです。
その当時は憧れのお兄さんであって、全く恋愛感情だとは思っていませんでした。しかし今振り返ると、その時から私はあなたが好きでした。あなたに恋をしていました。
そんな風に数ヶ月に何回かお話をするといったことを繰り返しているうちに、月日は過ぎ私は中学生になりました。
たしかメールアドレスを交換したのは私が中学生の時でしたよね。
前よりも少し距離が近くなったような気がして、あなたのスペースに入り込めた気がして、心が踊ったのを今も覚えています。
あまり長くやり取りをしてしまうのは迷惑かなと思い、私から返信をやめることもありました。
それでも、数ヶ月後にまたメールをくれるあなたのことが、どうしようもなく好きだったのです。
ですが、ある時を境にあなたは私を避けるようになりましたね。
話かけに行ってもあなたは何かと理由をつけて、なるべくはやく話を切り上げるようになったのです。
私はそれがとても悲しいと同時に、何かしてしまったのではないかという恐怖にも近い感情に囚われて、自分の落ち度を探しました。しかし、結局答えは見つかりませんでした。
そして、これ以上距離を置かれるのが、はっきりと拒絶されるのが恐くて、次第に私からもあなたを避けるようになりました。
どうかあなたに嫌われていませんように、と後ろ向きな願いを心の中でしながら。
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