Fake5:水谷くんとあいつ

「…ところでさ、あんたと水谷くんって何で仲良くなったの?」


帰り道、何気なく聞いてみた。すると、


「たまたま趣味が一緒だったんだ」

「へぇ…」


確か水谷くんは「pineapple」ってバンドが好きで、「ファーストファンタジー」ってゲームも好きなんだっけ。

「ファーストファンタジー」に関しては私の弟が知ってるから、私も少しだけ知識はあるんだよね。

それがキッカケで水谷くんとお話出来たときは嬉しかったなぁ。



「まず今日俺がギター弾いたバンド、『pineapple』がお互い好きでさ。俺らが仲良くなったきっかけっていうか…」


「俺が」って何だよ。水谷くんも弾いてたし。てかお前も好きなんだな、「pineapple」。まあ今日弾いてたぐらいだし。


「あとあいつも俺も『ファーストファンタジー』ってゲームが好きでさ。よく2人でやるんだ」


あれって家庭用ゲーム機のカセットじゃなかったっけ。弟がよくやってるんだけど。勉強もせずに。


「え、それゲーセンにもあるの?」

「ああ、いろんな人と共闘できたりするんだ。もしかしてお前、興味持った?」

「別に」


ゲーム自体には興味が無い。ただゲーセンにもあることを知ってびっくりしただけだ。


「他に水谷くんの好きなもの、なんか知らないの?」


仲のいいこいつなら知っていてもおかしくはない。


「おいおい、水谷じゃなくて、彼氏の俺に興味持ってくれよ」

「興味ないね」


こんなセリフ言ってるキャラファーストファンタジーにいなかったっけ。


「あ、そのセリフ。っておい!興味ないって何だよ…ほんと塩だなぁ、お前の対応…あ、もしかして照れてる?」

「別に照れてないから」


お前のことはどうでもいいんだよ。すぐ裏切ってやるから。

…でもこいつの弱みとか握っといた方がいいかも?

だとしたら…もうちょっとだけ優しくする必要があるな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る