Fake2:愛しの彼とあいつ

「香織ー、次移動教室だよ〜」


澪の声がする。


「あ、そっか。ありがとね澪」

「それより香織、何ぼーっとしてたの?あ、もしかしてまた水谷くん見てたとか」

「うっ、うるさいなぁ!いいでしょ…」


そこまで言って気付いた。私、昨日あいつ─宮川 雄飛に告白されて恋人同士になったんだ。


「あー…違う、違うの澪。私昨日彼氏出来て。その人のこと見てたんだよ」

「えっ!?香織彼氏出来たの!?誰々!?!?」

「えっと…宮川 雄飛。」

「えええええええ!!雄飛くん!?何で!?香織水谷くん好きじゃ…」

「そうなんだけど、彼の真剣な眼差し見てたら何かOKしたくなっちゃってさ」


我ながらよくここまでしゃあしゃあと嘘吐けるなって思う。

私はあいつを傷つけるためにOKしたんだ。


水谷くんは、カッコよくて優しくて、勉強ができて、さらにスポーツも万能。当然憧れる女子も沢山いるんだけど、彼には彼女がいたらしい。

しかも水谷くんから告白したんだとか。

しかも水谷くんは今の彼女との結婚も考えているらしい。

しかもその彼女、すっごい美人って噂で、水谷くんにお似合いらしい。


水谷くんの彼女には敵うはずないよね。考えれば考えるほど落ち込む。


そんな私の弱みにつけ込んで告白してきた宮川 雄飛、許さない。

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