第4話 こうして物語は始まる。
こうして王国を乗っ取ったタケルは異世界通貨の代わりに使える魔晶石を王国中から集めさせると大量にガチャを弾き始めた。
SSR級の魔物を産まれると嬉々として至上の幸福を覚え、その喜びのあまり隣国を次々と滅ぼしていったのであった。
そしてそんなタケルを人々はこう呼んだ。
ガチャ魔王と。
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そんな中、マジソン村に老人が訪れていた。
その老人は泥にまみれ雑巾みたいなローブを身に纏い、道端で倒れていた。
金髪の少年クラウスは老人に声をかけた。
「どうかしましたか」
「おお、少年よ。済まないが水を汲んできてくれないか。喉が渇いて立つこともままならん」
「分かりました。今すぐ持ってきますね」
「すまない」
クラウスを急いで井戸から水を汲んでくると老人に水を飲ませた。
老人は少し咳払いをするとクラウス少年を見つめる。
年齢は13歳ほどだろうか。無垢な瞳がその童顔な表情を際立たせていた。
「少年よ。ここはどこの村かね。四方に旅をしていていまいち地形に疎いのじゃ。情報をいただけると助かるのじゃが」
「ここはマジソン村ですよ。王都バングラムから南の外れにある村です」
「そうか。もうそこまで来ていたのか。それはいい情報を聞いた。ありがとう少年。せめて水のお礼をしたい。手を出してくれんか」
クラウスが出した手をおもむろに掴むと手のひらに金貨を数枚握りしめさせた。
「それを持ち帰り家族に見せるが良い。きっと家族のものは大喜びするだろう」
「こんな多くのお金をいただけません。せめて家で食事でもいかがですか」
「すまないな。なら遠慮なくお世話にならせてもらうとするか」
クラウスは老人の手を握り、我が家に連れ戻ろうとするとそこに少女が立っていた。
赤毛の少女は少し怒った表情を見せてクラウスに突っかかる。
「クラウス! どうして私の約束破ってるのよ。ずっと待ってたのに来ないからこっちから来ちゃったじゃないの」
「ああ、ごめんね。ちょっと死にそうな人を見かけたからつい」
「そんな見るからに不審者を助けてるんじゃないわよ。あんたってね……」
「ごめんねジェシカ。ちゃんと後で償いはあとでするから今は許して」
ジェシカと呼ばれた少女は困った表情を浮かべてなにかを諦めたようにふと笑みをこぼす。
「仕方ないわね。ちゃんと後で償いなさいよ」
そう言うとジェシカは老人の反対側の手をつないでクラウスの方を見る。
「この人をどこに連れて行くつもりなの」
「僕の家は食堂をやってるからお礼もたくさんもらったし、せめて食事をごちそうになってもらおうと思って」
「なるほどね。わかったわ」
そういうと、ジェシカはクラウスよりも力強く引っ張ってクラウスの家に引っ張ろうとした。
「早く案内して食事をごちそうさせたら時間が余るでしょ。だからさっさと行きましょう」
「もう、ジェシカはせっかちだな」
クラウスはやれやれと表情を浮かべてジェシカの速度に合わせるように足を運ばせた。
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