第4話 彼女に合う花

「今日は何かあったの?いつもと服違うし。」

 それもそのはず、俺は今日久しぶりに高校に行ったのだ。

 高校からそのままここに来たので、制服である。

「まあな。お前と違って暇じゃないし。」

「何よ、昨日まですることないって言ってたくせに!」

「…………急に悪いんだけどさ、これ。」

 俺は左手に持っていたピンクの花を差し出した。

「何これ、花?キレイ。」

「造花だから。そのままにしておいても大丈夫なやつ。」

 菜緒花は造花を取って、満面の笑みをうかべた。

「あんたらしくないけど、でも、ありがとう。」

「おい、あんたらしくないって何だよ。」

「地底人なのに可愛い花知ってるんだなって。」

 菜緒花は、おかしそうに笑った。



 あれから、一週間ほど菜緒花に会っていない。

 不登校中に溜めていた宿題も、あと少しで終わる。

 この宿題が全部終わったら、菜緒花に会いに行こう。

 テレビをつけると、ニュース番組がちょうど始まったところだった。

『速報です。今日の十三時ごろ、一人の男が誘拐の罪で逮捕されました。』

 一人の若い女性アナウンサーが、真剣な表情でニュースを続ける。

『〇〇県××市の△△小学校の男性教師が、十三年前……。』

 家からすぐの小学校だった。

『当時二歳だった北山菜緒花さんを誘拐し、その後監禁していたと見られ、只今北山菜緒花さんの身元を急いで……。』

 俺は立ち上がり、急いで家を出た。

 まだ菜緒花は、あそこにいるはずだ。

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