劉裕論59 民国 蔡東藩 1
まー「演義」なので厳密には歴史評論じゃないんですけどね。ただ演義ってやつは、より作者にとっての歴史観がくっきり出るもんでもあります。このお方は清末民国期に生きた人で、前漢から民国までを通貫して「演義」として書き切られた化け物。当時は西欧列強による中国の蚕食が激しく、「中華民族」のアイデンティティが深刻な危機に陥っていた。そういうのから立ち直らん、とこれらの演義ものを著したのだそうです。では、そこにあるのはおそらく Make China Great again となるのではないでしょうかね。
大抵の梟雄は、その事業の始めに絶大な功績を挙げ、人心を大いに驚かすものである。そうして国内外を心服させ、自らの思うがままに政府を動かして国を骨抜きとする。
桓玄一亂,而劉裕即乘九而起,是不啻為淵驅魚,為叢驅雀,玄死而裕貴,玄固非鸇即獺也。大抵梟桀之崛興,其始必有絕大之功業,足以聳動人心,能令朝野畏服,然後可以任所欲為,潛移國祚於無形。莽懿之徒,無不如是。裕為莽懿流亞,有玄以促成之,玄何其愚,裕何其智耶!至於安帝返駕,封賞功臣,裕為功首,而再三退讓,成功不居。「周公恐懼流言日,王莽謙恭下士時。假使當年身便死,一生真偽有誰知?」我讀此詩,我更有以窺劉裕矣。
第二回 起義師入京討逆 迎御駕報績增封
https://ctext.org/wiki.pl?if=gb&chapter=275163
はーい劉裕の簒奪がこのとき既に既定路線とか無茶なこと仰ってます。いやそりゃ最終的に簒奪したってのは確かでね、白居易の詩を引けば、そういう評価になるのはやむを得ないですよ、ただ桓玄打倒の段階でそれを志していたはさすがに無茶。恐いな、こんな決めつけを早い段階でぶちかます方の歴史評論か……「お前は歴史に何を学んだのだ」と思わざるを得ない……
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