劉裕論27 南宋 葉適 6
また曹操は権力者の地位に立ったが、自身で文学の潮流さえ生み出し、時論を作り出し得た。対する劉裕は親子揃って「すでに、そこにある潮流」に、兵力を背景にして乗り込んだ。魏晋の風潮を生み出した曹操親子に対し、劉裕親子はそこにあずかり、保とうとしたに過ぎない。国を保ちうるためには「楨榦」、確かな柱となる思想が求められよう。そこに統治者が気づかねば、発言はいきあたりばったりとなり、臣下を統御することも難しくなろう。
しかし劉裕は
朱齡石取譙縱,復從外水;朱超石取姚泓,奔卻月營。智勇兼奮,項籍、曹操無以過之。江左用兵如劉裕,古今所未有也。然及其意衰氣沮,為勃勃所禽,土梗之不若,皆前日之人耳。兵固無常勝,而亦無常形也。曹操既得重位,父子自作風流,領接一世。劉裕已有權任,父子慕當時風流,與兵力參用,成魏晉之俗者,操也;不墜晉之遺風者,裕也。為國自有楨榦,得之者興。人主不知此,難以言御物矣。因謝景仁謝述謝弘微事書此。然宋武又謂蔡廓自是蔡家佳兒,何關人事,竟以會稽與禇淡之,悲夫!若更透過,功烈何止如此!
朱齡石の譙縱を取るに、復た外水よりす。朱超石の姚泓を取るに、卻月營に奔る。智勇を兼ね奮うは、項籍、曹操を以て之に過ぐる無し。江左の用兵の劉裕に如くは、古今に未だ有りたらざる所なり。然れど其の意衰え氣沮ぜるに及び、勃勃に禽わる所と為り、土梗の若かざるに、皆な前日の人なるのみ。兵に固より常勝無し、而して亦た常形無かるなり。曹操は既に重位を得、父子は自ら風流を作し、一世を領接す。劉裕は已に權任を有し、父子は當時の風流を慕い、兵力と與に用に參ず。魏晉の俗を成したるは操なり。晉の遺風を墜としまざるは裕なり。國が為に自ら楨榦を有し、之を得たる者が興ず。人主の此を知らざらば、以て御物を言すは難かりき。因りて謝景仁・謝述・謝弘微は事え此を書く。然れど宋武は又た蔡廓を自ら是れ蔡家が佳兒と謂い、何ぞ人事を關ぜるに、竟に會稽を以て禇淡之に與う、悲しきか! 若し更に透過せば、功烈は何ぞ此の如きに止らんか!
「劉裕は配下運用に失敗した」
「そのせいで北方攻略に失敗した」
「何故なら確かな学がなく、そのため確かな基準でもって人材を運用できなかった」
「これを謝氏の人員が憂えた」
「しかし結局奸臣の蔡廓、貪婪な禇淡之をつけてはならないポストにつけてしまった」
というのがあらすじでしょうかね。ウェートはおそらく、「楨榦」にありそうです。敷衍すれば、
となれば、改めてこのあたりで「劉裕が皇帝に仮託されている」側面が色濃く出てくる感じになりますね。そして「確かな基準でもって臣下を運用せよ」というのは正しくなんでしょう。まぁ「じゃあ正しい基準」ってなんだよって話になるけどな!
あと蔡廓をクソヤロウ認識してることを把握していい笑顔になってます。まぁ確かに近くにいてほしくないけどね?
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