08/12
「なんだアイツら?」
「ぷっクスクス」
「あれ、女装してるよな?」
「文化祭の悪ふざけかな?」
「あのイケメンwwマジウケるんですけどぉwww」
「キモっ」
「キミ、女装の際はすね毛を剃りたまえ。ワシが女装する際は剃ってるぞ」
「女装男はキツイな……」
本日は快晴。
降水確率は10%。ところにより女装男が出没するでしょう。
「ねぇ城崎君」
「どうした、早瀬よ?」
「ちょっと離れて歩かない?」
「フン。女装しているとはいえ、オレ様のような男と歩くのは怖――」
「怖いというより、恥ずかしいの……っ」
周囲の視線がビシビシ刺さって、わたしは赤面恥じらいモード。
女装した城崎君と街を歩くのは、想像を遥かに超えるキツさで……いや。
怖くてキツイというより、恥ずかし過ぎてキツイ的な意味で。
「クククッ、どうだ早瀬よ。女装したオレ様と一緒に、街を歩き回る気分は?」
「恥ずかしいよっ!」
「ならばオレ様の作戦は成功だな」
「えっ?」
「女装した男と街を歩けば恥ずかしい。羞恥心など恐怖以外の感情は早瀬が男性に抱く恐怖を和らげる」
「ヤダよ! そんな肉を斬らせて骨を断つ的な捨て身の戦法っ!」
「クククッ、誤解するなよ。恥ずかしいのは早瀬だけではない。じつはオレ樣も恥ずかしいのだっ!」
「嘘だよ! 城崎君は絶対女装に快楽を覚えてるよ!」
「クククッ、ずいぶんと自然にオレ様と会話ができるようになってきたじゃないか」
「ひぐぅぅ……確かに今は怖さより恥ずかしさが上だよ……」
ニタニタと、女装男子の嘲笑を浴びながら。
わたしと城崎君@女装は、赤面しながら人通りの多い街を歩き回ります。
目指すは奇虫博。愛しの奇虫ワールド。
ゲジ目ゲジ科アレキサンダーダイオウゲジに会えるなら、たとえ火の中、女装した男子とデートの中。
世界最大のゲジゲジを這うシーンを妄想。サイコーだった。効果音は「カサササ――ッ」とか、きっとドライヴ感のある音だと思う。
洞窟の天井から飛び降りて滑空するとか、ジャンプしてコウモリを捕らえる伝説にも興味あり。
赤面したわたしは、他人の視線をこらえて街を歩きます。
「うわぁ、すっげぇ……」
「ねぇママー」
「しっ!! 見ちゃ駄目!」
ちなみに女装男と街を歩く恥ずかしさで、男性に対する恐怖が薄れるのはガチです。
精神的なダメージは、同じかそれ以上ですけど……
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