第07話 天使ちゃんのおしごと


 はずかしながら、わたし天使です。

 世界のみんなをこっそり見守る、目には見えない「愛の天使」をしています。


 てへへっ。

 とつぜんのカミングアウト、みなさん驚いちゃいました?


 ――おどろいたでしょ?(※疑問形)

 ――おどろいちゃったよね?(※同意強要)

 ――うん!(※断定)


 今日は、みんなをおどろかせたおわびに、天使の業務を大紹介しちゃいますっ♪


 さてはて?

 みんなが気になる、天使の業務。

 それは、なんでしょうか?


Q.世界の平和を守ること?

A.ブブッー♪ 一度やってみたいですけどハズレです。


Q.公園の空き缶やポイ捨てのタバコを拾うとか?

A.残念バッテン♪ よくやってますけど趣味なんです。


Q.悪魔と激しいバトルを!?

A.ノンノン♪ 乱暴なことはたまにしかしません。


Q.じゃあ、人間の恋が成就するのをお手伝いをすること?

A.ンパカパーん☆ 大正解ぃ~♪(パチパチ)


 そうです。

 わたしたち「愛の天使」が行うお仕事は、人間さんに愛の奇跡を起こすこと。

 さっそく説明タイムに移りたいのですが……

 それには、体を斜め45度に傾けてから、カメラ目線で。


 ――天使のお仕事っ!

  ――それはなんだっ!?

   ――ただのニートかっ!?

    ――いいえ、違いますっ!


 こほん、いささか興奮してしまいました。

 反省、反省……というわけで、いつものテンションで天使のお仕事を紹介します。


 天使のお仕事、それは単純にして明快です。

 ズバリ、世界のみんなに「奇跡を起こすコト」なんです。


 奇跡の勝利、奇跡の生還、奇跡の◯◯、はてさて?

 奇跡にも、色々な種類がありますよね。

 わたしは愛の天使ですから、みんなに「愛の奇跡」を起こすお仕事をしています。


 そんなわけで、今日はみんなに特別サービス。

 愛の天使がプロデュース。

 素敵でグッドな愛の奇跡を紹介しようと思うのですが……

 まずは、奇跡を起こす対象が必要です。


 たとえば、


 ――ガタンゴトン、ガタンゴトン。


 平日のお昼下がり、ガラガラの電車内で。

 暇そうにスマホを弄ってる、学校帰りの高校1年生の女の子とかが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る