02/11


 それが、昨晩から今朝までのあらすじ。

 事情を知らない妹は、悩みの種なあたしソックリの絵をニヤニヤ眺めている。


 その横で、あたしは呟いてしまうのだ。


「やっぱりこの絵のモデルって、あたしなのかなぁ……いや、でもアレは夢で……」

「???」

「ぶつぶつ……ぶつぶつ……」


 それから、数分間。

 あたしが、何も知らない妹に説明した内容を纏めると。

 ――ヘンな夢を見てしまった。


「それって、夢の続きがあるかも? わたしはお姉ちゃんが夢の中で、フラッと過去の世界に行っちゃったんだと思うなー」


 いやいや、さすがにそれはねぇよマイシスター。

 あたしは否定はするけれど、妹は「この絵は過去の世界のお姉ちゃんがモデルに違いない!」とか言い出す始末。

 ハイハイ分かりました、続きを見たらまた明日教えてあげる。

 適当に相手してから、妹を家に帰らせた。


 いなくなればいなくなったで、やることがない。

 仕方ないので思いっきり昼寝したら、消灯時間を過ぎてもぜんぜん眠くならず。

 月明かりでぼんやり浮かぶ、壁の時計を眺めていて。


 チクタク動く時計の針が、日付が変わる午前0時を示した時。


 ――意識がふっと落ちる感覚。


 映画で見るクロロホルムで気絶するときは、たぶんこんな感じかもしれ――

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