町1
「転移門に行くんだろう? 何で寮に向かっているんだ?」
俺は今、最初の授業が終わりフレドンと寮に向かっている。寮に帰って準備でもするのかと思っていたのだが、そうでも無いみたいだ。
町に行くためには転移門を通らなければならないらしいが、転移門って何処にあるんだろう?
「何故って、それは寮に転移門が有るからに決まっておるであろう?」
寮にあるんだ、転移門
しばらく歩いて寮の前まで戻ると寮の入り口には入らずに裏に向かって行く、そして裏には無数に扉があり多くの人が並んでいた
「む、中々に人が多いな」
「そうだな」
扉の裏には何もない、だが扉を通った人は消えていく。
まるで「どこでも○ア」みたいだな。俺が生きている内に「どこで○ドア」を通る日が来るとはな。・・・いや、死んでるけども
「ん? あの扉の数字はなんだ?」
扉にはⅠ~Ⅴの数字が書かれていた。
「本当に勝は資料を読んでいないのであるな。あれは存在世界の数字である」
「そうなのか」
これには俺にも覚えがある、たしか資料には地球は第一世界と書かれていたと思う。
「うむ、我は勝の世界に行ってみたいな」
「別にかまわないが・・・」
構わないのだが、地球のどこに飛ばされるんだ?そもそも地球なのだろうか?もしカンボジアにでも飛ばされたらどうにもならんぞ。
まぁ行ってみれば分かることか
「ま、何とかなるだろう」
そうして俺たちは十人ほど並んでいる列に並び第一世界、つまり俺の世界に行くことにした。
まぁ、後ろには、ちゃっかりとマリナが付いてきているのだがスルーだ。
扉を抜けるとそこは・・・ここはどこだ?いや、俺の出身世界なのは確かなのだが東京?アメリカ?フランス?先進国の町を混ぜた感じのものだ。
「おぉ、勝の世界の建物は大きいのだな」
フレドンはまるで子供の様に目を輝かして辺りを見渡しているのだが、周りの目が痛いので早く立ち去りたい
「それにしても異様だな」
景色や建物は地球の「物」なのだが「者」が違う
町中を歩いているほとんどが羽が生えていたり、角が生えていたりと地球ではあり得ない光景が広がっている
そんな光景を横目に見ながら、興奮冷め止まないフレドンに話しかける
「何か買ったりするだろ?」
「うむ!」
買い物と言ったらショッピングモールだろうな、まぁ生前は買い物には行くことが少なかったから自信はないけど
「それで何が買いたいんだ?」
「そうであるな、美味しい物を食してみたいな」
美味しい物って寮で異世界の物を食べたろうに、しかも好奇心旺盛なフレドンの事だ日替わり定食の様に毎日食べていたに違いない
「食べ物って食堂で食べていないのか?」
「そうなのだが、寮では白くて長いモチモチした物と穀物の上に茶色のスープを掛けた物しか食べていないのだ」
「うどんとカレーな」
竜人がうどん啜っているのってシュールすぎるだろう
しかし、どうした物か食べ物と言っても和食、洋食または中華と様々あるが異世界人のフレドンの好みに合う物があるだろうか?
「どう言った物が食べたいとかあるか?」
「うーむ、食べごたえがあって胃にずっしり来る物が好ましいな」
「肉とか?」
「そうであるな、ただ焼いたものでなく何か手間をかけた物が良いな」
そうだな、肉で食べごたえがあって胃にずっしり来る物か、俺にはアレしか思いつかない。フレドンの口に合うかどうか不安は有るが勧めてみるか
「そうだな、思い当たる物があるが食べてみるか?」
「うむ、まかせる。 勝が言うのなら間違いないだろう」
笑顔でフレドンが答えてくれる。
え?何この信頼感は俺たち出会ってまだ二時間もたって無いよな?
「じゃ、行こうか」
俺がフレドンに勧めようと思っているのはハンバーガーだ。食べごたえがあって、お腹にずっしりくるし値段も多分リーズナブルであると予想できる。
二人で数十分ほど歩いて目的地に到着する。
「ここなんだが」
そこはショッピングモール内にあるファーストフード店である。店内は学生で賑わっており、その騒がしさが妙に懐かしい気分にしてくれる。
高校生の時によく友達と通ったものだ
「なんだか賑やかな場所であるな」
「こっちに並んで注文するぞ」
午前授業だったからなのか人が多い、少し並んで俺たちの番になった。
「いらっしゃいませ! こちらの世界のお店は初めてのご来店になられますか?」
「俺はこの世界の出身ですが、連れは違います」
俺はバイトでも、正社員でも敬語で話す様に心がけている。これは自分がバイトをしていた際に態度の悪い客に対して怒りを覚えたことがあるからだ。金を払っているのだからと横暴な態度で接して良いわけではない
「でしたら、簡単にご利用の仕方を説明させて頂きますね」
今日が入学式だと知っているのだろうか、店員は馴れた口調で店内の利用方法を教えてくれた。
主に元の世界と変わらないが、説明の中に「店内で火を吐かない」「店内を飛ばない」などの異世界ならではの注意もあった。
「じゃ、フレドンが注文してみるか?」
「う、うむ」
若干緊張しているのだろう、フレドンは少しぎこちなく注文していたが無事にハンバーガーとドリンクのセットを買うことが出来た。
注文を終えた俺たちは、空いている席に移動して食事を楽しもうと思っていたのだが
「あ、勝さんじゃないですか! ご一緒しませんか?」
ミルルが生徒会長と食事を楽しんでいた。なんか朝にも似たような事があった気がするな
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