第64話

 そして、並べられる料理。

 恐らくそれは、7人家族でも食べれない量があるだろう。


「さぁ、ボク!食べて!食べて!」


「えっと」


 ボクは戸惑いつつ亜金の方を見る。


「これ、みんなピノさんが作ったの?」


 亜金は、なんとか逃げる道を探しつつピノの方を見る。


「安心して!

 このクマは私が狩ったから!」


「クマの肉って売っているんだ……」


「なにを言っているの?」


 プレゲトンが首をかしげる。


「え?お店で買ったんじゃないの?」


「森で狩ったのよ」


「森で売ってたの?」


「違う、私が素手でクマを倒したのよ」


「……え?」


 亜金は、言葉を失った。

 森のクマといえば、そこそこ強い。

 それは、亜金でもわかる。


「えっへん!亜金私に惚れた?」


「えっと凄いね」


 亜金は苦笑いを浮かべた。


「ボクボクボクボク!

 ピノはね恐竜を狩ったんだよ」


 ボクの頭はまっしろになる。

 このパターン。

 食べなくちゃいけないパターンだ。

 とてもひとりでは食べきれない。

 そう思ったとき。

 ひとりの勇者が現れる。


「おお?なんかうまそうじゃないか!」


 灰児だった。


「灰児さんも一緒に食べません?」


 ボクが灰児に提案した。


「いいのか?」


「よし!じゃ、俺はみんなを呼んでくる」


 ジョーカーはそういってその場を離れようとした。


「わーい。

 みんなでご飯楽しみだなぁー」


 ピノの笑顔にジョーカーは、がっくりと肩を落とした。

 逃げるつもりだった。

 だが、ピノの笑顔を見て逃げれるほど……

 ジョーカーは薄情にはなれなかった。

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