第63話

 ――花嫁修業大作戦その1


 ピノは、料理場にいた。

 タナトスがエプロンをつけピノに言う。


「花嫁さんといえば……

 お料理です!これ、定番ですよ」


 タナトスがビシっとピノに指を向けた。


「……お料理」


 ピノは、そういって目を輝かせる。


「おおおおお!タナトス選手の見事なキャベツのみじん切り!」


 プレゲトンが実況する。


「これを斬ればいいの?」


 ピノが包丁片手にキャベツを持つ。


「そう……でも、手強いよ」


 レテが小さく言う。


「う?」


 ピノが、まな板に置いた瞬間。

 みじん切りにされたキャベツがまな板に現れた。


「ほわ?」


 プレゲトンが驚く。


「なにしたの?」


 それは、タナトスも同じだった。


「みじん切り……

 ピノお料理得意」


「お料理は斬るだけじゃダメ!

 とんかつ作りますよ!」


 タナトスがいうとプレゲトンがいう。


「じゃ、次のステップね!」


 ――花嫁修業大作戦その2


 ジョーカーの運転で向かった先は山奥。


「おい、本当にするのか?」


「うん……

 この中で一番狩り能力が高いのは私だから私が教える」


 レテがそういうとピノにビシっと指を向ける。


「いや、たしかにこの山の動物の肉は美味いが。

 強いぞ?」


 ジョーカーの問いにレテはいう。


「大丈夫」


 レテはそういういってブイサインを見せたあと車を降りた。


「ぐるるるるるるるる」


 猪が現れる。

 レテは、一瞬で猪の急所に攻撃を与え気絶させる。


「おおおお!」


 ジョーカーが驚き手を叩く。


「私は、もっと大きなものを取るわよ!」


 プレゲトンがそういってあっという間にクマを狩る。

 タナトスも対抗心を燃やし闘牛を狩る。


「ねぇーこの子のお肉。

 美味しいかな―?」


 ピノの声とともに恐竜が現れる。


「ちょっとその恐竜……」


 プレゲトンが大きな声でいう。


「その恐竜は危険よ!

 今すぐこっち来なさい」


「え?貴方危険なの?」


 恐竜は、有無を言わずピノに襲いかかる。

 しかし、ピノは軽い身のこなしでその攻撃を避けるとあっというまに首を切り落とした。


「ピノちゃん凄い!」


 タナトスが驚く。


「恐竜があんな簡単に!」


 レテが少しよだれを垂らす。


「今日は恐竜ご飯」


 3人のテンションが上がる中……

 ジョーカーはひとり冷静でいた。


「とんかつを作るんだよな?」


 しかし、誰も聞いていなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る