2018年 3話 守れなかった約束 イングヴェィ編

「また……セリカちゃんが…」

悔しいとセリくんが俺の目の前で泣く

隣の部屋ではセリカちゃんが眠っている

誰かに階段から突き落とされたらしい

怪我はセリくんの魔法で治したけれど、怪我が治ったからと言ってセリカちゃんが受けた恐怖は消えない

今年に入ってからセリくんとセリカちゃんへの嫌がらせが多くなり、その内容も下手をすれば死ぬようなコトだった

なるべく2人には1人にならないように気をつけてもらっていたけれど、四六時中一緒と言うワケにも行かず隙を付かれてはこんなコトになっている

「もう…許せない、このままだとセリカちゃんは殺されちゃう

殺される前に…俺がセレン様のコト殺すよ!」

我慢の限界だって泣きながらセリくんの強く握る拳から血がにじむ

爪が手を傷付けてしまうほど…強い決意

「ダメだよ、セリくんがセレンさんを殺したら君の存在も消えてしまうから」

セリくんの手を掴んでその手を開かせる

俺が魔法を使ってセリくんの手の傷を治しても手を引っ込めてまた力いっぱい握ってしまう

「だって!このままじゃ」

「君はセリカちゃんのクリスマスプレゼントなんだよ

勝手に消えるコトは絶対に許されないの

セリカちゃんを悲しませたいの?」

「うっ…それは…でも、セリカちゃんを守るにはそれしか方法がないと思うんだ」

俺もセリくんも、セリカちゃんやレイくん達と同じ人間じゃない

天に住んでいて、人間とは違う存在

それを誰もどう呼ぶかはわからないけど、生きる時間も住む世界も違う

それでも俺達は大切な人の傍にいる為に地上にいて生活している

俺達は誰かを傷付けるコトも殺すコトもしてはいけない

してしまったら…この存在は消えてしまうから

「それにセリくんはセレンさんが作ったものだから、主人を殺すコトは絶対にできないんだよ」

「あんなの……俺のマスターなんかじゃない、俺のマスターはひとりだけバリファ様だけだもん」

見た目はセリカちゃんソックリの男の子、そして中身も大人として作られているハズなのにとても幼く感じる

実際年齢まだ8歳だから仕方ないのかもしれない

感情的だね、ダメだよ

君がいなくなったらセリカちゃんは死ぬほど悲しむんだから…わかるよね

「セリくんは心配しないで、セレンさんのコトは俺がなんとかするから大丈夫」

セリくんの両肩を掴んで言い聞かせる

君が勝手に行動しないように…

「なんとかって?」

「君とセリカちゃんが幸せに生きていけるようにするの、約束するよ」

俺が微笑むとセリくんは少し納得いかない感じだったけど、わかったと頷いてくれる

セリくんには危ないからセレンさんに近付いてほしくない

「イングヴェィはセリカちゃんと結婚するの?

この前レイが振られたって言ってた…」

突然セリカちゃんと結婚と言われドキッとした

セリくんにとってセリカちゃんの結婚はとても気になるコトだろう

セリくんはセリカちゃんがどこにいこうとずっと一緒だから、セリカちゃんと結婚するコトにセリくんは関係なくはない

レイくんからは振られたってコトを俺も直接聞いた…

その日の夜に…

長年、ライバルだったから…嫌いまではいかないけど仲が良いワケじゃなかった

だけど、レイくんが振られたって聞いた時は…俺はバンザイして喜ぶと思っていたのに

とても…複雑な気持ちになった

レイくんは辛いハズなのに

『セリカが幸せになるのがオレの最高の幸せ、イングヴェィさんがセリカと結婚するなら…絶対幸せにしないと許さないからな』

って…笑って言ったんだ

もし俺がセリカちゃんに振られたら、そういう風に笑って幸せを願えただろうか

きっと出来ない…

だからレイくんが凄いと思った

自分が必ず幸せにすると誓った人に受け入れてもらえず、他の人の下へと行ってしまう

それを愛する人が幸せなら自分はこれ以上にない幸せだなんて……

わからないけれど…その愛の深さに…俺は負けたと感じてしまった

だけど俺の考えは変わらない、セリカちゃんは絶対に誰にも渡したくない…!

渡したくないよ……でも、レイくんは凄いね

「うん…するよ、セリカちゃんにもう一度プロポーズするよ」

「えっでも…」

「内緒だよ?」

ふふって笑うとセリくんは手で口を抑えて絶対内緒にする!と約束してくれた


そして、俺はセリカちゃんにプロポーズした

君から良い返事を貰えた時は死ぬほど嬉しかった…幸せだった…

長年の想いが叶って…

ついに君と両想いになる日が来るなんて

「結婚式は今年12月、後1年くらいあるって言ってもあっという間ね」

クリスマスのプロポーズから少し経ってお正月が終わった頃、結婚式は12月にするコトに2人で決めた

すぐにでも結婚したい気持ちはあるけど、じっくり色々と決めて準備したいからね

「セリカちゃんのウェディングドレスが楽しみだな、お色直しは7回くらいしようよ」

「しんどいし!ゲストに迷惑だよ!?」

今日は午前中にブライダルフェアに参加して、午後からは別の所の結婚式場を見学する予定

「とにかく料理が美味しいかどうかが大事ね」

ブライダルフェアで料理の試食が出来ると聞いてセリカちゃんはそれを狙って行くと言う

「でも、当日は忙しくてセリカちゃんは食べられないんじゃないかな?」

「たぶん食べられないでしょうね、私が料理の味にこだわるのは

来てくれるみんなは私達のお祝いに来てるんじゃないのよ!美味しいもの食べに来んのよ!!」

3万も出してね、だから料理の味は大事なの、とセリカちゃんは言う

結婚式の主役のハズなのにセリカちゃんは浮かれるコトなく冷静だった

「ちょっと待て…私、友達も家族もいなかった……招待状送る人いないじゃん…」

冷静からの現実に気付く

「大丈夫だよセリカちゃん、セリくんは家族でしょ?友達はレイくんと香月くんがいるよ?」

「3人しかいない!それにレイと香月招待していいの!?プロポーズして断られた女の結婚式来るか?

そもそも招待状送るコトに無神経すぎない?」

「んー…」

普通に考えると、ありえない話だけど…

レイくんも香月くんも変わらず関係は続いてるし、セリカちゃんの結婚式に招待しなかったらしなかったで怒りそうな気もするような…

「わかったよ、今度レイくんと香月くんに聞いてみるね

それで俺から招待状を送るから」

「イングヴェィからって方が怖いような…

私が2人の立場ならイングヴェィ殺すと思う」

俺も同じ考えだよ

でも、レイくんも香月くんもそんな人じゃないから心配しなくて大丈夫

俺達はその後も結婚式の心配や楽しみや色んなコトを話しながらブライダルフェアに参加した

セリカちゃんの感想は料理が美味しくないからダメだそうです

午前の所を終えて午後から別の式場を見学に行くと、セリカちゃんはすぐに気に入る

交通は少し不便だけど山の高さを生かしたガラス張りのチャペルは空の中にいるかのように幻想的だった

空気も綺麗で、水と光に囲まれた神秘的な所もセリカちゃんの心をグッと掴む

「ここが良いわ!」

「料理も美味しかったもんね」

すっかり気に入ったとセリカちゃんはチャペルの中で楽しみだと笑う

1年後…ここで君はウェディングドレスを着て…最高に綺麗な姿を見せてくれるんだろう

いつも綺麗だけど…きっとその日は特別に……

「楽しみだね」

隅々まで見ていた君はチャペルの中心にいる俺の隣へと戻って来てくれる

「うん…」

そっとセリカちゃんを引き寄せて抱きしめる

いきなり抱きしめられて君は驚いて身体を緊張させるけど、ぎこちなくてもその腕を俺の背中へと回してくれた

セリカちゃんのコト…本当に大好きだ

俺の最初で最後の恋、愛してる運命の恋人

セリカちゃんが俺に好意を持ってくれているコトはずっと前からわかっていた

君のコトならなんでもわかるから…

わかってる…わかってるけど

ごめんね…セリカちゃん

俺は君を、幸せにできないかもしれない…

この手を絶対に離したくないのに

君を守る為なら…この手を失うかもしれない

俺はね……決めたんだ

セレンさんを…殺すよ……

それしか君を守る方法がない

君を傷付ける存在を放置にはできない

俺のせいで君達を危険な目に合わせたようなもの

一度は君を殺された…去年は殺されかけて、そして今もずっと君を狙っている

セレンさんを殺したら俺の存在も消えるだろうね…

セリカちゃんを守る為なら…この存在が消えてしまっても…

「セリカちゃん…」

「イングヴェィ…」

まっすぐに君を見つめて、名前を呼ばれたらキスをする

はじめて…のキスだった

セリカちゃんを好きになってよかった

セリカちゃんを愛して幸せだった

本当はずっと君と幸せでいたかった…

でも…やっと想いが通じて、セリカちゃんに好きだって愛されて…十分だよ

君に悲しい思いはさせない

君を傷付けたりはしない

だから…

「イングヴェィ…?なんだか急に眠くなって……」

俺は魔法で君の中にある俺の記憶を消し去った

そのせいで少し眠ってもらうコトになるけど

セリカちゃんだけじゃないよ、みんなの記憶も消して…俺は存在しなくなるんだね

大丈夫…レイくんなら君を絶対に幸せにしてくれるから……

「サヨナラ、セリカちゃん…大好き…愛してる、死んでも…君だけを想ってるよ」

君を椅子の上に寝かせてから、最後にもう一度だけキスをする

レイくんに連絡して迎えに来てもらうから、目が覚めたら…君は何も疑うコトなくレイくんの恋人だよ…

結婚するのはレイくんとになるから…

正直羨ましい

見たかったよ…君のウェディングドレスを

俺の隣で……見たかったのに

バイバイ、生まれ変わったら…また君の恋人になるよ

ずっと傍にいたかった…でも、離れられなくなりそうだったから俺はすぐにセリカちゃんに背を向ける

大丈夫、心配しないで

セリくんもセリカちゃんも俺が守ってあげるからね

もう大丈夫だからね……もう大丈夫……



覚悟は決めてきた

死ぬのは怖い、君のコトを忘れてしまうんじゃないかって考えたら…それだけが怖い

でも俺は絶対に君のコトを忘れない

例え忘れたとしても必ず思い出すから…

一目見たら…絶対に

だって、セリカちゃんは俺の永遠の運命の恋人だから…

レイくんを呼び出して俺の記憶を消す

本当は…嫌だけど…セリカちゃんの恋人としての記憶に書き換える

あの時、レイくんがプロポーズをしてセリカちゃんは断っていない

受け入れたってコトにする…

これで…大丈夫…セリカちゃんは幸せになれる、絶対に…

次は…セリくんの記憶も……

セリくんとセリカちゃんの住むアパートへと向かう

部屋を訪ねると返事がなく、ドアの鍵が開いていた

「セリくん…?」

何かおかしいと思いながら部屋に入ると電気はついているのに、誰もいない

どうして?セリくんがいないなんて…

1人で出歩くのは危険だからと言い聞かせてる

レイくんはセリカちゃんの所…じゃあ…セリくんは……

ふと窓の外を見るとふらっと夜道を歩くセリくんの後ろ姿を見付けた

「セリくん!?どこへ行くの!?」

まだこの距離なら俺の声が届くはずなのに、振り向きもしなければ足を止めるコトもない

なんか変だ……嫌な予感が強くする

俺は急いで部屋を出てセリくんを追いかけた

「どっちに…行ったんだろう……」

セリくんを見かけた道まで来たはいいが、右か左かわからない

でもすぐに右の道に真っ白な羽根が落ちているのを見つける

それを拾い上げて確認するとセリくんの羽根で間違いない

早く追い付かないと、セリくんにもしものコトがあったら……

セリカちゃんが死ぬほど悲しむから…

絶対に、セリくんは無事にセリカちゃんの所へ帰すよ

この先は確か公園だったな、いつも人気がなくて薄暗い所

「セリくん…!!」

公園にたどり着くとそこにはセリくんと…もう1人の姿がある

セレンさんだ…やっぱり……そうか

彼女の姿は酷く変わってしまっていた

あの女神のような美しい姿は失われ、人の不幸を願う真っ黒な人の形をしただけの塊のように

もうセレンさんは手段を選ばないだろう

セリくんを壊して、セリカちゃんを殺す

自分の命を道連れにしても…

「はっ…なんで、俺はここに?」

俺の呼びかけに正気を取り戻したセリくんは周りをキョロキョロと見渡す

「セレン様に…イングヴェィ…?」

セレンさんの姿を見てセリくんは俺の方へと後退りするが

「こっちへいらっしゃい…セリ」

セレンさんに呼ばれるとセリくんの身体は自分の意思とは関係なく引っ張られるようにそっちへと足を向ける

「セレンさん!セリくんをセリカちゃんに返してあげて」

「この子はもう人のモノですもの、もちろん返して差し上げますわ?…めちゃくちゃに壊してから!!」

ぞっとするような強い憎しみを感じる

「セリくん行っちゃダメだよ!」

俺の言葉もセリくんの手を掴んでも止められない

マスターの力と命令はこれほどまでの強制力があったなんて…

俺とは違う……

「どうしてこんなコトを…」

セレンさんはセリくんを傍まで呼んで腕を掴み逃がさないようにした

これじゃ……

「あの女があたくしをこんな醜い姿にしたからですわ!!あの女さえいなければこんな事にはならなかった!!

あの女だけ幸せになってあたくしだけが不幸のまま死ぬなんて耐えられませんわ!!!」

「そんなの、逆恨みじゃん!セリカちゃんはセレン様に何もしてないよ!!」

セリくんの言葉にカッとなったセレンさんは頬をひっぱたく

「お黙り!!誰に口答えをなさるの!?あなたなんて創らなければよかった!!あなたもあの女と同じくらい憎いのよ!!!」

「っ……」

セリくんの表情が悲しみに染まっていく

叩かれた頬を手で抑えて必死に涙を我慢している

あぁ…そうだ、セリくんにとってセレンさんは生みの親だ

自分の大好きな人(セリカちゃん)を傷付ける大嫌いな人(セレンさん)だけど

それでも生みの親である、母親と呼べるセレンさんにそう言われて酷く傷付いている

幼い子供は…たった1人しかいない母親が大好きだから……それがどんなに酷い親でも

セリくんは大人の姿をしていても実際はまだ10年も生きていない子供だ

「うっ…!?」

急に頬から口元に手を当て直したセリくんの手からは大量の血が溢れ出す

「ど、どうしたのセリくん!?」

俺の呼びかけに痛みに耐えながら首を横に振る

もしかして…喉をつぶされて?黙れって命令ひとつでセリくんの声を壊すなんて

「ひ…酷い……」

もう許せなかった…

セリカちゃんの大切なものとわかっていて傷付けるこの人を…

セレンさんを殺すしかない

覚悟は決めてきたけれど、できれば殺したくはなかった…

俺が死にたくないのもあったけど…俺は誰も殺したくなかった

でも…彼女を生かすのは危険だ…

俺の大切なものを…壊して殺すと言うなら…

「イングヴェィ様も悪いんですのよ?

人間の女なんぞにうつつを抜かすんですもの

あんな女の何処がよろしいんですの?

今すぐ殺したい!!最大の不幸を与えてから酷い方法で殺してやりますわ!!」

そう言うなら…仕方ないね……

俺は魔法でナイフを取り出す

「……あらあら、そのナイフであたくしを殺すおつもりで?」

すぐにセリくんを盾にするように構え直す

「あたくしはまだ死ねませんわ、そのナイフをあたくしに届かせたいならまずはセリを殺す事ですわね」

「卑怯だね…セリくんを盾にするなんて…それじゃ俺は手出しできないよ」

「見ていてくださいまし、貴方の愛しい人の不幸を……っ!?」

セレンさんは最後まで言葉を話すコトは出来なかった

背中から彼女の心臓へとナイフが貫いたからだ

セリくんを盾にするコトなんてわかってた…

だから卑怯なんて言わせないよ

俺は魔法を使って背後からセレンさんを殺したんだよ

セレンさんの力が抜けた身体がセリくんへと体重がかかる

「セレン様…?」

セレンさんの気が散ったコトでセリくんの潰された喉を魔法で治すコトができた

でも、セリくんはそれに気付かずセレンさんが地面に倒れ込むのを目にして固まってしまった

「…イングヴェィ…どうして!?セレン様を殺したらイングヴェィだって消えちゃうんだよ!?イングヴェィが消えたら…セリカちゃんはどうなるの!?」

聞かないで…そんな難しい質問……

何も答えられないから

すぐにセリくんはセレンさんの傍に座り込む

「セレン様、すぐ治すか…ら…」

するとセレンさんは力のない手を上げてセリくんの頭を撫でた

「セリ…あたくしを心配して…くださるの…?良い子…です…わね……」

「あっ…」

はじめてセレンさんに優しさを感じたセリくんは戸惑いと嬉しさで目に涙を浮かべている

「だって……セレン様は……それでも、俺のお母さんだもん…」

ニコッと笑うとセリくんの涙がこぼれ落ちる

「セリは…あたくしを…好きかしら?」

「……わからない…でも、優しいお母さんは大好きだよ」

セリくんの笑顔を見ると、セレンさんを殺したのは間違いだって言うの?

ただ追い詰められておかしくなって戻れなくなってしまっただけで、セレンさんだって人並みに良い所がある人だった……

俺は…何を間違えて、無駄な不幸を作り出してしまったんだろう……

セレンさんは死ぬ間際になって、やっと素直になるコトができたのかもしれない

セレンさんもセリくんも…本当なら良い親子に……

「あたくしは…セリが大嫌い!!憎いのよ!!偶然にもあの女と同じ顔に創ってしまった1番の失敗作!!

セリなんて壊れておしまい!!」

死ぬ間際に呪いの言葉をかけて、セリくんの心も命も壊れてしまう

「セリくん……!?」

手を伸ばしても、もう遅かった

セレンさんの最期の言葉と同時に彼女は息絶えてしまい、俺もこの場から消えてしまった

何も…できなかった…

セリくんを守ってセリカちゃんの所へ帰すコトができなかった

後悔だった…失敗したコトに強い後悔が残る

セリカちゃんを…幸せにするコトも出来ず、セリくんを壊されて不幸にさせてしまった

死んでしまった俺には何もできない

後悔するコトくらいしか…

俺は…君を愛しているのに、何も守れなかった

セリくんのコトも…

結婚のコトも……

残ったのは偽りの幸せを押し付けたコト

レイくんにも失礼なコトだ…香月くんだって納得しないだろう

俺は間違った選択をしたんだ

セレンさんを殺すなんて悪い選択を決めたから、結果も悪くなるのは当然だよね…

でも、いまさら後悔したってどうしようもない

過去には…もう戻れない

死んでしまったら、その魔法も使えないんだから

それじゃあ…どうしたらセリカちゃんを守れたって言うの!?

これしかなかったんだよ!?

これしか…思い付かなかった……

こんな結末……ごめんなさい、セリカちゃん…セリくん……

セリくんには2人が幸せに生きていけるようにって約束したのに…守れなかったね

最悪だよね…

……俺はセリカちゃんのコト、愛してるから……

セレンさんと同じだったのかもしれない

俺が追い詰められて行き着いた先がここなんて

俺は…君に愛される資格なんてないのかもしれない

セリカちゃんに愛してもらえるような男じゃない…

それでも、俺はセリカちゃんが大好きだよ死んでも…君だけを愛してる…



-終わり-

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