第4話 写真の中には、ゆめのひととき

とりあえず1時間後、ちょびっと戻った魔法力で押し入れ外(部屋)の豪雪を消し去る

寒い寒い部屋にストーブを付けて温まる間、セリカちゃんはホットなチョコレートミルクを作ってくれた

「……………。」

んだケド………

気持ちはとっても嬉しい

でも、俺はミルクしか飲めないし……

チョコレートミルクって…チョコレートなのかミルクなのかどっちなんだ??

って言うかチョコレート混ざってたらミルク入っててもダメなような気が……

飲んだコトないからわかんないんだケド

「…何よ、ボーッと見つめちゃって……

せっかく私が親切に身体があったまるホットチョコミルクを作ってあげたのに

飲めないって言うの!!!!!!???」

「いや、俺はミルクしか飲めな………っ!!?」

セリカちゃんは聞かずに無理矢理チョコミルクを俺の口に流し込む

ちょっと熱いんだが!?

コレ、飲める飲めないの前に火傷するよな!!!!??

アンタのホットチョコミルクは放置で冷ましてんのに俺はあっついの無理矢理飲まされるなんて拷問だ!!この悪魔め!!!

「うぐっ……な、にすんだよバカ女!!!

俺はミルクしか飲めない受け付けない身体……なん……

あれ…?何コレ……超ウマイんだケド……」

熱くて味なんてわかんなかったし、身体が受け付けなかったら吐くかと思ったのに

俺はチョコミルクが飲めてる

唇についたチョコミルクを舐めると……ヤベェ何コレ超ウメェ感動した

…そうか!俺はミルクだけ飲めるんじゃなくて、ミルクが混ざっているものなら飲んだり食べたりできるんだな!!??

知らなかった!!!

前に美味しそうだからってイチゴを食べたら身体がありえないくらい拒絶して苦しみながら吐いたからトラウマになって1歳になるまでミルク以外口にしようとしなかった

リジェウェィさんも0歳のうちはミルクしか飲めないって言ってたから…

俺はミルクと何かを一緒に口にしたコトがなかったな

「でしょ?私も最近チョコミルクにハマッてるの

ココアも美味しいケド、熱いミルクにチョコレートを溶かすのも最高なのよ」

「うん、スゲーこんな美味しいものはじめて口にした

でも…先に言っとくが」

言っておかないと次は無理矢理ミルク関係ないものを食わされて死ぬ思いをしそうだ

「俺は来年1月の誕生日までミルクしか飲めない身体だから、ミルク以外のものを無理矢理食わせるとかやめてくれよ」

「ミルクしか飲めないの?アンタの存在って不思議」

「ミルクと混ぜれば口にできるとは思うかな

このチョコレートみたいに」

混ぜればってのは俺の勝手な答え

チョコミルクはいけるケド、もしかしたら吐いたコトのあるイチゴでイチゴミルクはダメかもしれないし

「へぇ~」

セリカちゃんはドコとなく意地悪そうな顔をして笑うとタンスにかけてあったコートを着て出掛ける準備をした

「もうお昼の時間だから何かご飯買ってきてあげるね」

親切なコト言ってくれてるのに、なんか…スゲーイヤな予感しかしねぇんだケド……

「ご飯って……」

彼女は俺が何か言う前にさっさと近くのコンビニに行ってくると出て行ってしまった

ご飯………ミルクを混ぜれば何か食べれそうな気がするなんて新発見したのに、ミルクのみだけにしてほしいと思うのはなんでだろう……


5分ちょっとしてセリカちゃんはコンビニから帰ってくる

ちょっとキッチンで何かやってるな~と思いながらも、食卓テーブルの所で大人しく待つ俺

彼女が俺にお昼ご飯と言って持ってきてくれたのは……

「はい、どうぞ

今日は私の奢りだから残さず食べてね」

ニコッと笑うセリカちゃんと違って、俺は目の前にした食事に顔が引き攣る

『納豆ミルクご飯』

明らかなる嫌がらせ以外の何ものでもない

「……スゲー…ヤベェ匂いが……見た目も……エグすぎる………」

ミルク関係なしにある意味本当にコレは身体が受け付けねぇぞ

「食べ物は粗末にしちゃダメよ!」

この女の奢りと言う言葉以上に恐いものはない

俺に無理矢理食わせる縛りだ

女じゃなかったら絶対殴ってる

それはもう始めて会った時から数えたら10~50発くらい

女でよかったなセリカちゃん!!

逆に男の俺は一方的に殴られる側だよ!!!!

「うぅ…マジでコレを食わせる気なのかよ……

まずオマエが食ってみろってんだ」

箸を渡されたケド、箸なんて使ったコトないからスプーンに変えてもらい

とりあえずスプーンで茶碗の中にある納豆と米とミルクを混ぜる

誰か助けて!!今すぐ!!誰でもいい!!

始めて食べるものがコレとは鬼畜すぎるぜ!!!

「やっぱコンビニ弁当マズイな」

彼女は親子丼のミニを食べながら俺の言葉を無視

だったらこの納豆ミルクご飯と変えてくれよ!!

「いた…だきます……」

食べ物を粗末にしてはいけませんってマスターの言葉を胸にしながら俺は納豆ミルクご飯をスプーンに乗せて口の中に運ぶ

あぁ、マスター…貴女が俺にこんな試練を与えるのは俺の成長を思ってのコトだと信じていいんですよね……?

もしかして、俺はマスターに嫌われてるんじゃないだろうか

こんな女の担当にさせられるとか……

「…………………死にたい…………」

やっぱりミルクが混ざると食べれるみたいだ

身体は拒絶せず吐きはしないケド、自分の意思で吐き出したくなるようななんとも表現できない苦痛の味が口の中に広がる

納豆とミルクはダメだろ…どう考えても相性最悪だろ

見た目もアウトだろ

食べなくてもわかるだろ

「美味しかった?」

俺のわかりやすい顔を見てその台詞を言える君がスゴイ、マジで

「食ってみろ!!」

「えっイヤよ、マズそうじゃん」

「そう思ってるのに何故俺に食わせた!?イジメか!?」

「面白そうだから」

アハッて笑うこの女をいつか平伏せてやりたいと思いながら俺は納豆ミルクご飯を全部食べ切った

食べ物を粗末にしてはいけないってマスターの言い付けを守った俺はスゲー偉い

しかし、セリカちゃんは根まで悪魔ではなかった

デザートにと彼女は美味しそうなイチゴのヨーグルトを俺にくれたんだ

イチゴを吐いたトラウマがあったケド…ミルクが混ざってるとスゴイ美味しい

イチゴ好きになるよ

ミルクなしで食べれるようになったらイチゴを死ぬほど食ったるね

「そういえば、このアパートはセリカちゃん以外に人の気配がしないんだが…

みんな旅行にでも行ってんのか?」

イチゴのヨーグルトを食べながら俺は気になってたコトを聞いてみる

「このアパートには私しか住んでないわよ」

セリカちゃんもイチゴのヨーグルトを食べてるケド、俺のイチゴヨーグルトより値段高そうで美味そう

「えっ?このアパートって君の私有地?」

「んなワケないでしょ

ココって超有名ないわくつきのアパートなの

見ただけでなんか出そうって感じじゃない?」

うっ…それってお化けとか出放題ってコトかよ

確かになんかイヤな感じしまくりだったケド

「だから家賃がとっても安いんだよ

貧乏の私には大助かり

隣人トラブルとかないし、超有名いわくつきだから泥棒とか変質者も近寄らないから女の子の一人暮らしでも安心」

「お化けとか…恐くないのか?出るんだろ?」

「この部屋はとくに何もないみたいだケド、こっちの隣は刃物でめった刺しの殺人、こっちの隣は首吊り自殺、下の部屋は一家心中、があったみたいね」

こっちと言いながら指をさしながら普通に喋りやがる

他の部屋でも自殺未遂とか色々あったみたいだ

「別に幽霊がいるいないとかよくわかんないケド、私は霊感ないから見たコトないし」

スゲー…この女、やっぱ普通じゃねぇよ

いくら霊感がないからとかでも、普通そんな何か気持ち的にヤバすぎる所に住んだりしないだろ

家賃がスゲー安いってだけで住むとか無茶苦茶すぎる

さらにそんな超有名いわくつきを逆にプラスに受けとって、泥棒や変質者とかが近寄らないってのはある意味どんなセキュリティよりも最強なのかもしれん

「古臭くて狭いのがスッゴイ不満だケド、近所付き合いとかなくて静かだから悪くはないかな

幸い、トイレとお風呂は別々だし

トイレとお風呂が一緒はイヤだったのよね

まっこんな所が好きなワケじゃないからいつか超金持ちと結婚して豪邸に住むケドね」

「そうですか…」

その未来の超金持ちの旦那が哀れだ、色んな意味で

確かにこの部屋は1人ならまだいいかもしれないケド、2人になるとちょっと狭いな

部屋の中をもう一度見渡してみると、化粧品が置かれてる棚にウサちゃんの可愛い写真立てが飾られてる

「この女の子…セリカちゃんの友達?」

写真立ての中には遊園地をバックにセリカちゃんと友達らしき女の子が2人で写ってる

友達らしき女の子は凶暴なセリカちゃんと違って、控えめで優しい雰囲気のある落ち着いた感じの可愛い女の子だ

「ちょっと勝手に見るなよ!!」

写真立てを手にして見てると取り上げられてしまった

写真くらい見てもいいだろ!

しかも目につく場所に飾ってんだから見るなって言うほうが難しいし、見られたくないなら閉まっとけよ!!

「そうだよ結夢ちゃんは私のお友達なの

可愛いでしょ?惚れちゃダメ」

残念、俺は年上の綺麗な人が好み

年下同い年より年上

可愛いより美人

って言うかマスター

「中身がセリカちゃんより100万倍可愛いと言うコトは会わなくてもわかるかな」

って言ったらどつかれた

そう言う所が可愛くないんだよオマエ!!!

「ふん!

…それよりアンタ、私にクリスマスプレゼントをするまで付き纏うとか言ったケド

それってまさか私の家に住み着くって意味じゃないでしょうね」

ダメなの!?

「頑張れば?」って言ったから傍にいても良いって意味で捉えてたんだケド…

う~…寝泊まり出来る所はあるケド、リジェウェィさんいないし

1人であそこに行きたくないなぁ

意地悪してくる3人組がいるからヤダもん

「帰る所がないお金持ってないとか言って私の紐になる気!?最低だな!!死ね!!」

そんなつもりまったくサラサラねぇのに死ねまで言われてる!!?

「寝泊まりする所はちょっと…でも、お金ならある!!」

俺は魔法の袋から人間世界で使える現金1000万円を取り出して彼女の前に出した

この魔法の袋には相手のほしいものを取り出せるだけじゃなく、自分の私物を入れるコトも出来るんだ

「マスターが人間世界で必要になるコトもあるだろうからってくれたお小遣の全財産!!

セリカちゃんに迷惑かけないから…できるコトなら俺をココに……」

「いいわよ、いても」

即答で急に態度が…変わった!!?

なんか1000万を目の前にするとめっちゃ笑顔だし!?

人間はお金が好きってリジェウェィさんが言ってたケド、本当だったんだ……

「この1000万で貴方が私にクリスマスプレゼントするまで同居させてあげる」

「本当!?あ~よかったー

あっちのホテル泊まるくらいなら野宿した方がマシって思ってたケド

野宿なんて寒くて死ぬし絶対イヤだからセリカちゃん所にいてもいいって言ってくれて助かったぜ」

「何、泊まる所あるんじゃん

それなのに可愛いレディの部屋がいいとか変態ね」

なんで変態呼ばわりされなきゃならないんだ……

「まぁアンタは人間じゃないから、人間の男とは思わないコトにするケド

変なコトしたら本当に殺すからね!!」

変なコトが何なのかさっきからわからんが、なんやかんやで俺は今日からセリカちゃんの部屋で暮らすコトになった

一緒に住めば彼女のコトがもっとわかるハズ

そしたら、彼女のほしいものが何かそのうちわかるかもしれない

そして!クリスマスまでにほしいものをプレゼントして帰る!

完璧だ!!



-続く-

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