態度は、神さま

倶生神ぐしょうじんってなんですか?」

「それは私から説明するね」

俺の右肩から淡い緋色の衣を纏った倶生神が現れた。もう、突然程度では驚かない。

「私たちは地獄の者なの。1人の人間が生まれると同時に2人の倶生神がその子の両肩に乗るの。片一方が善行を、もう片一方が悪行を一生監視し続けるの。そして、その子が一生を終えたら死後に天界に行くか地界に行くべきかを判断する材料として監視結果を神に具申するの。ここまでOK?」

OKでなかったら、きっと、この説明をもっと細かく再度されるに違いない。知っても知らなくてもいい世界の情報に通じる気はさらさらないから、首を大きく縦に振る。

「理解が早くて何よりなの。人間にしては並の理解力があるの」

うっわ…。サラッと毒気を混ぜてきた。こういう可愛い感じを装ってる奴は心の何処かに闇を持っていて時折それが出てくる。しかし、大人な俺は小さな神様相手だからいちいち腹を立てたりはしない。倶生神が間をおかずに話したてる。

「そんな私たちの存在理由は担当した子の監視して結果を出すことなの。そこに感情が移入してしまってはいけないの。してしまったらどんな悪人も天界への道が開けてしまうからなの」

「なるほど。つまりはお二方は担当の子に感情移入してしまわれたんですね」

淡い緋色を纏った具生神がムッと口を尖らせる。すると、もう一方の蒼い具生神が口を開いた。

「ユキに見初められるくらいだから話がわかって助かる」

ユキちゃんがふふんと鼻を鳴らす。

「それで、ここからが私たちからのお願いなの。どうしたらいいの?」

おっと、二つ目の案件にして今後もなかなか訪れない難問がやってきてしまった。大きな力を持った神ではないけど、過ごした時間は瞬きの間に人の一生が終わるとものだ。そんな神からどうしようと言われても、俺もどうしたらいいでしょうねとしか言えない。

サッとユキちゃんへ視線を送る。バッと視線をかわされる。でも、そんなことで逃げられるほどこの世界は優しくできていない。

「人間の僕には今はお二方の相談に口を出すことができません。しかし、神の御使であるこちらのユキちゃんならば有用な意見をくれるに違いまりません‼︎」

ユキちゃんが目を大きく見開いてこちらを見つめて離さない。見たら変な術をかけられてしまいそうな予感がしたからすぐさま具生神達を前にする。

「ユキはどう思ってるの?」

「わ、私ですか⁉︎ えっと、その…。担当した子はどんな子なんですか?」

こいつ、まさか…‼︎

「おお‼︎ いいことを聞いてくれた。どんな子なのか是非とも一度見てもらいたい。ユキはこの社から出ることができないからそちらの人間に見てもらおう」

くっ…ピンチを先延ばしにしやがった。あの一瞬の間にこんな抜け道を見つけるなんて。ユキちゃんのプロフィールの知能を気持ち上方修正しておこう。

「是非見せていただきたいです。見た上でなら人間の僕でもわかることがあるかもしれません。その子のことをしっかりと見て、ユキちゃんに寸分違わない実像をしっかりと伝えます」

ユキちゃんが目を見開いてまたこっちを見ている。面倒ごとに巻き込んできたんだから最悪でも共倒れて、倶生神に飽きられる道を選ぶ。

「うむなの。それでは明日の正午に私が人間を引き合わせるの」

「よろしくお願いいたします。それと、身分不相応であることは十分に承知した上で申し上げたいのですが、僕のことは光輝とお呼びください。人間と呼ばれることに慣れていないもので、返事ができないかもしれませんので」

「承諾するの。明日はよろしくなの、光輝」

2人はぺこりと揃ってお辞儀をするとうっすらと姿を消していった。

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