第3話

「メラフター国王陛下、馬車の手配ありがとうございます、それでは」

「お気を付けて」

 王宮の玄関前で国王陛下と別れるとそのまま馬車でムガルチアまで帰国する。

 今は馬車の中なのだが、非常に居心地が悪い。

 原因は目の前に座る女性にある。

 彼女はメラフター帝国の領事館職員、ミユさんだ。

 なんだかさっきから話しかけても上の空なのだ。

「ミユさん」

「はい」

「今日はいい天気ですね」

「はい」

 今日は曇っている。

 こんな感じでどれだけ話しかけてもへんじがはいとしか返ってこない。

「ミユさん」

「はい」

「あなたはブスですか?」

「はい」 

 結構美人だ。

「あなたはバカですか?」

「はい」 

 領事館職員なんだからバカじゃないと思うけど。

「ミユさん」

「······」

「ミユさん」

「······」

 おっと、ついに返事がなくなったぞ。 

「ミユさん!」

「······」

「おい!ミユさん!!」

「はい」

 はいじゃねえよ。

「あの、話しかけても返事がなかったので」

「すみません」

「いえいえ、大丈夫です、あの、何かありましたか?」

「おかまいなく、何も無さすぎてぼっとしていただけなので」

 いや話かけとったやん!!

 くっそ、こっちは親睦を深めようと色々やってるに!!

 あー、もうこれは俺のすごさを見せつけるしかないな。

「ミユさん、ちょっとお話しませんか」

「はい」

「敬語使わなくてもいいですよ」

「ん」

「普段絵を描いたりしますか?」

「しないけどでも天才的に上手い」

 ほほぅ、言ってくれるね。

「そうですか、でしたら絵の上手さで勝負しませんか?」

「えぇ、めんどくさい」

「大丈夫です、そんなに時間とりませんから」

「ん」

「じゃあ城に戻ったらやりましょう!いやー、楽しみですね」

「······」

 テンションの差が天と地ほどある2人と、もはやテンションとかそういう次元じゃないこの世に意識にのない1人をのせて馬車は進む。 


~~~~~~


「それでは、マルム対ミユさんのお絵描き勝負を始めます!」

「はい!」

「······」

「ルールは簡単、上手な絵を描く、それでは始め!」

 いま俺はとんでもない後悔に押し潰されていた。

 なぜかって、この世界2次元に需要ないし。

 てか2次元自体存在しないし。

 まあ最悪この世界に2次元が対応してたとしても審査員女だし。

 つんだ。

 けどまあ全力で描くしかない!

 炭の固まりを掴んで紙に擦り付けるのであった。


「やめー!」

 マリルの合図とともに二人とも手を止める。

「じゃあまずはミユさんから、どうぞ!」

 ミユさんが紙をこちらに向ける。

 絵を見ると······。

 まあピカソと言っておこう。

 だが、これは勝った!

「続いてはマルム、どうぞ!」

「はい!」

 紙を皆に見えるように持ち上げる。

「ほほぉー、まあ上手だね、さて、ミユさんど···ミユさん?、ミユさん!?」

 なんとミユさんの目が絵に釘ずけになっている。

 これは勝ったな。

 勝ちを確信した俺は紙を置こうとしたのだが。

 ダダダダ!

 ミユさんがゴキブリのような動きで近づいてきて。

「ふぉぉぉ!! か、かわいいっ!」

 ハード○イかよ。

「陛下!この絵なに!?」

「はい、すごいでしょ」

「うん!」

 その日からミユさんはヲタクと化した。


~~~~~~


お知らせ


この作品を一度改訂して再び1話から投稿し直します。

作品名も変更しますのでそちらの方もよろしくお願いします。


 

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築城スキルで異世界征服 {建国の章} TaM @maturimaturu5169

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