第9話 夢の世界
「なぁ、俺と契約してくんない?せめて話かけてくんない?」
僕が空飛ぶ耳の生えた黒い饅頭に話かけてるのには理由がある。
「ねぇ、まだ?ほんとにしゃべってこないの?」
紫髪の彼女が待ちくたびれたように話しかけてくる。
「あの~・・・こいつッて本当にしゃべるんですか?」
口がないし。
「だ~か~ら!なんか脳内に直接話しかけてくる感じだって!・・・ね!」
そういうと彼女は自分のタルパに話しかける。
「ほらね!」
いや、わかんねぇよ。どうやらタルパはその所有者としか話せないらしい。
「いやぁ、ちょっとわかんないっす」
「うーん。無口なタルパもいるのかな」
そういうと彼女は、「それなら」と言いながら僕の手を引っ張る。
「あそこ」
そういいながら彼女は指をさす。その先を見た僕は。
「・・・・・」
言葉を失った。そこには山を登る不規則な石で舗装された階段そしてその先には神社のような建物が見える。その光景は、今までの街並みから大きく逸脱して少し不気味だったが、微かにそして、確かに僕は安心した。
「あれって・・・」
「そう、神社だよ。・・・でもこんなところにあると異質だよね」
この人神社も知っているのか。
「じゃあここって日本?」
「プフフ・・。そんなわけないよ」
・・・やっぱり違った。そんな気はしていた。ここに来た時から。
「じゃあ・・・ここって・・・」
どこだよ・・・。
「ほんとにわかんないの?」
そういわれ僕はうなずく。
「ここは・・・」
「夢の世界だよ」
風が彼女の髪を揺らしていた。
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