第8話 タルパ
「ありがとうございましたー」
服屋らしき店から出た僕の服装は入る前とはずいぶん変わっていた。というか変わった服装になっていた。
「マントって・・・」
少しコスプレじみた格好に戸惑いながらも周りを見ていると、男なのにへそを出していたり、ジャラジャラした手袋をかけている奴らがいた。僕は、ナウなヤングにバカ受けするのはこういった服なのか。半ば思い込むように感心した。
「少しは、マシになったね」
正直センスを疑うが買ってもらっといて文句は言えない。
「あの・・・お金ってどうすれば・・・」
「お金はいいよ。でも手伝って欲しいことがあるんだ」
そう来たか・・・
「・・・なにを手伝えばいいんでしょうか?」
「うーん。その前にタルパとは契約した?」
契約?
「・・・タルパってなんですか?」
「うーん。・・・この子!」
そういって彼女は自分の肩の上に浮いている、こぶしぐらいの大きさの生き物のようなものに指をさす。見た目は丸い砂時計にマントを羽織り頭にとんがり帽子をつけたような感じだ。・・・それ、出会った時からめっちゃ気になってた。
「・・・その子と契約はしてないと思います。」
存在もよく知らないしね。
「この子じゃなくて!!うーん。あなたの場合はあの子!」
そういいながら彼女は僕のうしろに指をさす。この子と言ったりあの子といったり・・・まったくどの子だよ!と思いながら振り返ると。これまたこぶしのおおきさで黒い饅頭に角ばった耳が生えた生き物が宙に浮いていた。・・・ああ、この子か。初めて見たのに他人だとは思えない感じだ。・・・どこか懐かしい。
「契約・・・してないと思います。ただ・・・」
「ただ?」
「絆を結べとか言ってたような・・・」
「それだ」
「タルパは契約のことを絆とも呼ぶの。正しくいうと彼らにとっては絆を結ぶことを契約というんだけどね」
「そうなんですか」
「で、どうなの?契約した?」
・・・
「わかんないです」
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