第3話 友達出来ました。

 チャイムが鳴った。授業終了の号令を行う。号令の終わりと同時に先ほどまで静かだった教室が一斉に騒ぎ出す。いつもやりなれているはずの一連の動作にいつもより倍の解放感を覚える。・・・ヤツのせいだ。みんなもそう思ってるに違いない。そう思いながら周りの話し声に聞き耳を立てるとやはり、マジだるかったーとか、マジないわーや、マジ疲れたわーなどが会話の半分以上を占めていた。僕も会話に混ざりたい。そう思っていた矢先に左斜め前に座っている、クラスメイトから話しかけられた。

「今日はとんだ災難だったね。武田君。」

 クラスメイトに君付けは距離を感じる。

「まぁね、あの顔で怒るのはないよね。俺泣きそうだったし。」

 実際、涙目だったし・・・。

「お、そうだな。・・・意外な返しでびっくりしたよ。ハハハ。」

 まぁ、周りの人にはただの暗いやつにしか見えないよね・・・。

「あ、そうだ!あの時園崎と何話してたんだ?」

「あー、なんていうか、そのー・・・夢の話?」

「夢?夢っていうと、将来の話とかの?」

「いや、目をつむったまま見るほうの夢」

「へ、へーそうなんだ・・・夢ねー」

 反応しづらいよな。わかる。

「ちなみに、どんな話だった?」

 気になるっちゃ、気になるよな。わかる。

「うーん、なんか夢の中で異世界に行った話かな?」

 どうでもいいよな。わかる。

「・・・それって、の話じゃないの?」

 タルパ?なにそれ?

「知らない?寝てる間にこことは違う世界に行ける話。今すっごく流行ってるんだよ。あまり知ってる人いないけど」

・・・それって流行っているといえるのか?

「行くには方法があってね、それは・・・あ」

 あ?

「その話、ちょっと待って」

 そういって話の大事なところで割ってきたのは園崎さんだった。園崎さんと彼・・・大島君は耳打ちで話し合ったのち大島君は納得したような顔をして

「わかった。じゃ、そういうことだから」と言ってその場を去った。

うわ、この学校で始めて友達になれたのに連絡先聞くの忘れた。と思いつつも何を話していたのか園崎さんに聞いたらこう返ってきた。

「何でもない、ただの夢の話だよ」



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