オージオグラムを見たことがある

 学校や職場の健康診断での、聴力検査。

 高い音(4000Hz)と低い音(1000Hz)の2種類が、ヘッドフォンの右耳だけ、または左耳だけから流れ、聞こえたら手に持ったボタンを押す。1000Hz付近での聴力が、日常会話には必要だ。


 さて私の手元に、今年度の検査結果がある。


右 1000Hz 所見 4000Hz 所見

左 1000Hz 所見なし 4000Hz 所見


 これだけ見ると、

「お前の耳は、いったいどこが聞こえているんだ」

 という感じである。

 左の1000Hzが聞こえていると、特に困らないんだよ、本当に。


   ◇


 子供の頃は、毎年1回、大学病院で聴力検査を受けていた。

 私一人で防音室に入り、病院の人は、透明な窓越しの隣の部屋へ。


 検査に使う機器は、耳に当てる通常のヘッドフォンと、耳の後ろの骨に当てる骨導こつどうレシーバ。音が聞こえたら、手元のボタンを押すのは同じ。

 検査に使う音は、ものすごく低い音からものすごく高い音まで、5、6種類あったと思う。

 音を片方から流すだけではなく、右のヘッドフォンから雑音が鳴る中で、左のヘッドフォンからの検査音を聞き分けるとか。ヘッドフォンと骨導レシーバを重ね付けして、左のヘッドフォンから雑音、右の骨導レシーバから検査音、というようなこともした。


 で、検査結果は、どの音をどの大きさで聞き取れたか、という折れ線グラフになる。

 ネットで調べてみると、「オージオグラム」という物だそうだ。横軸に音の周波数(125~8000Hz)、縦軸に聴力レベルが図示されている。小さい音を聞き取ることができるほど、グラフでは上の方になる。


参考サイト: デフサポ

「ここだけは必ず確認すべき!聴力検査結果【オージオグラム】の徹底解説!」

http://nannchou.net/audiogram


 本格的な検査はもう何年も受けていないし、子供の頃はグラフの意味を理解していなかったので、グラフを絵としてとらえた記憶頼りだが。


・右も左も、ヘッドフォンと骨導レシーバの結果に大差はない。

・右耳は、基本的にグラフが地をい、高音側1つか2つだけちょっと上がる。

・左耳は、基本的に上のほうにいるけれど、高音側1つか2つだけちょっと下がる。


 ……だったと思う。

 要するに、「右耳は、高い音だけビミョーに聞こえる団栗どんぐりの背比べ」「左耳は、高い音は若干聞き取りづらいけれど、ほぼ正常」という状態。

 上記サイトの説明によると、検査機から出力できる最大の音量で鳴らしても聞こえなかった場合は、その聴力レベルの位置に点をプロットだけして折れ線でつながないそうだが。私の記憶では、右耳のグラフも全部つながっていたので、一応、検査音の範囲内では聞こえていた模様。

 ただ、当時より年齢が上がっているので、今、検査したらグラフの形が変わるかもしれない。


 ヘッドフォンだと聞こえが悪いけれど骨導レシーバでは聞こえる場合、耳の穴から入った音が内耳ないじに届くまでの伝達経路に問題がある「伝音性でんおんせい難聴」。

 私の右耳は、骨導でも結果が変わらないので、内耳以降に問題がある「感音性かんおんせい難聴」になる。


 この「左耳は(ほぼ)正常」のおかげで、日常生活は全く普通に送れている。自分から明かさない限り、周囲の人の大半は私の右耳難聴に気付かない。

 音楽教室の幼児科に通っていたので、何もなくともドレミファソラシドを外さずに歌えるし、ピアノでじゃーんと和音を鳴らして「ドファラ」とか答えることもできる。

(小鳥の歌がドレミファソラシドに聞こえる、はさすがに無理)


 あ、救急車のサイレンは、近づいてくるときは「シーソー」で、遠ざかるときは「シ♭ーソ♭ー」だと思っているな。来る方向はわからないけど。

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