第34話 ミーシャ姫の決断

 ミーシャの部屋は、椅子が一つしかない。殆ど使用人以外、母親ぐらいしか入れた事がないからだ。ナオミに化粧台の椅子に座ってもらい、自分は、ベッドに腰掛けた。ナオミが少し上の空なので、マークのことを考えているのだろうなとは思ったが、こっちの話も聞いてもらいたい。

「ナオミは、マークと結婚するの?」

 ナオミは、慌ててミーシャを見た。

「そんなの分からないです」

「じゃあ、そうなりたいなーって思っているの?」

「えーっと、どうしたんですか、今日は追及厳しいです」

「やっぱりそう思っているのね。私もソウジロウとそうなりたいって思っていたわ。私とソウジロウの話、もっと聞きたい?」

「すっごく聞きたいです」

 ミーシャは、惣次郎・ユーナスとの出会いを話した。

「惣次郎さんって、紳士的だったんですね」

「遺跡の映像アイテム見たでしょう。ソウジロウも見れるのよ」

「本当ですか!」

「内緒にして、私以外知らない秘密なのよ」

 それから、ミーシャは、ソウジロウと会えなくなった17年間の話しをした。そして今でも愛していると。

「ミーシャさん可哀想です。そんなのありえないです」

 ミーシャも少し泣いたが、ナオミは号泣した。

「ごめんなさい」

 ミーシャは、本題に入る前に、ナオミが取り乱してしまったので、給仕にお茶を持ってこさせることにした。(実年齢15歳のナオミにはきつい話しだった)ナオミは、泣いた後急に黙りこくってしまった。顔も青ざめてきている。それは、ちょうど、ケエル総督が、ナオミの本性を言い当てている所だったからだ。

「ナオミ大丈夫。顔が真っ青よ」

「大丈夫です」

 今日は、これ以上話せないかしら

 ナオミは、お茶を飲んでしばらくすると顔に赤みが戻った。ミーシャは、やはり今日、話さないと、今度は、何時になるか分からないと、思った。

「ソウジロウのことなんだけど」

「はい」

 物凄い食いつきだ。

 変ね、さっきのは、何だったのかしら

「私、ソウジロウに会いたいの。どんなことをしても」

「だったら、会いに行きましょう。一つだけ道があるんです。ここを出発してもマークとアランは、魔法特区に戻ってきます。誘拐された少女の奪還です。何でも屋のもう一つの仕事です。女の子を助け出したら、ケレスの哨戒網も防衛線も突破して、この星を離脱します。ミーシャさんも便乗しちゃえばいいんだわ」

 ナオミは、ケエル総督が、協力してくれることで、成功すると思い込んでいた。

「アランさんたちが!」

「はい」ナオミは、ニコッと笑った。

 ミーシャは、希望の光をナオミに見て、ナオミの手をぎゅっと握った。

「お願い、もっと詳しく聞かせて」

 ナオミは、もうすぐ誘拐犯がここに来る情報をグリーンという人がつかんでいて、その子を助けるために、マークたちに協力していると話した。実際は、グリーンが発注者だが、何でも屋は、仕事を請けると、発注者と一蓮托生になる。また、発注者を守るための守秘義務が生じる。だから、自分が始めたように話す。

「グリーンの予想では、誘拐犯は、魔法特区に隠れると言っていました」

「ここからそう遠くないわね。魔法特区は、隣だもの」

「クエイザー宇宙港に誘拐犯がついた時点で作戦は、始まりますから、それから車止めに行ってマークたちを探すのは、難しくないと思います」

「分かったわ、ナオミありがとう」

 ミーシャは、ナオミに抱きついた。二人とも抱き合って泣いた。

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