第3話
バイトは12月頃から、かなり忙しくなる。
1年生の8月から始めたバイトは、繁華街にある個人経営の居酒屋だった。サークルの先輩の紹介で入った。時給はまあまあ。普通にシフトを入れていれば、月8万程は入る。
忘年会シーズンが始まり、徐々に仕事にも慣れてきた。ラスト(閉店作業)もするようになった。
閉店は午前1時なので、バイトが終わるのはいつも大体2時頃。寮に帰って寝るのは3時頃になる。1限はいつも辛い。
クリスマスは一応空けていたが、2人きりの予定だとかが入ることは当然なく、サークルの同学年同学科の友人達5.6人とで飲み会をした。
「君って付き合ってる人いないの?」
今一番されて嬉しくないランキングぶっちぎり1位の質問をされた。
「いたらこんなとこいないよ。
「だよねー。私も。こんな日は働きたくなくてバイト休んじゃった。」
「寂しいなあ2人とも」
「なんでお前はここにいるんだよ。」
「舞のやつバイト入れてたんだよー!」
利穂や海と笑いながら話してたが、心中はあまり穏やかでない。
志帆は今頃彼氏と過ごしているのだろうか。
一緒に遊んだり、家に行ったりする中で、徐々に志帆に惹かれていくことに気付いてから、LINEを既読無視して、続けるのをやめた。
2ヶ月程続いていたLINEの中に、2人の習慣みたいなものが出来あがっていた。
何もしてないとき、返信はどちらとも大体10分後に送る。短い文で何個も送る。最後にスタンプを付ける。おやすみと送ることはないが、おはようとは送る。返信するまで既読を付けない。返信がなくても追加で送ることはどちらからもしない。
どちらから言ったわけでもないのに、そんな習慣が出来ていた。それがなんだか嬉しくて、毎日楽しかった。
自分でも少し、いや相当気持ち悪いなと思った。
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