第2話
志帆とよく話すようになったのは、1年生の秋になってからだった。
10月に大学祭があり、自分の学科では1年生が出店をする決まりがある。そこで出店の代表をやらなければならなくなった。
学科の1年生50名程が集まり、話し合って代表を決定するのだが、あろうことか
海とは同じサークルで、高校は異なるが地元が同じだったため、よく話すようになった。講義を一緒に受けたり、サークルが終わるとよく先輩達に居酒屋に連れられ、飲みに行くことが多かった。
明るく、楽しいことが大好きな奴だ。よく笑い、よく喋る。交友の幅が広く、違う学科に同い年の彼女がいた。女性にセクハラめいたことを言ってしまうのがたまに傷な人だと自分は思っている。
「だってお前なら向いてるし、上手くやれると思ったんだよ。」
海が俺を代表に推薦した理由らしい。
話し合いは平行線を辿っていて、アルバイトがあるので早めに切り上げたかった自分は、代表を引き受けてしまった。
代表の仕事は大変だった。大学祭は学生が有志で行うもので、規模はあまり大きく無い。
出店の代表はよく召集され、飲食を提供するには保健所の許可を取る必要があること、調理をする人は検便を提出しなければならないだとか、そんな説明を受けた。
「今年の出店代表なんだってね。」
サークル終わりの飲み会で、志帆がそう話しかけてきた。どうやら昨年の代表だったらしい。
「そうなんですよー。色々大変で。」
「私もその頃結構大変だったなあ。ね、手伝ってあげよっか。」
「いいですよ。悪いですし。」
「いいのいいの。今年は何出すの?」
「去年やったのと同じのやろうかなって思ってます。他のをやる理由もないんで。」
「私達のと同じやつね!色々アドバイスしてあげる。」
「ありがたいっす。」
それから志帆とはよくLINEするようになった。
『検便とか早めに集めないと、出してくれない人がいるから困るよ!』
『やっぱそーですよね。ありがとうございます』
『材料は業務用スーパーで買うと楽だし、値段も安いよ!』
『それは知ってた。笑』
『えー。なんだよー笑』
大学祭が終わった後もLINEのやりとりが続いていて、志帆の家にもよく行くようになった。
志帆にはこのとき、2個上の彼氏がいる。
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